Nyao's Funtime!!

nyao(♂)の不可逆な日々を、チェスの騎士のように不規則にたどたどしく綴っていこうと思っています。

拙著「ケーキツアー入門」好評発売中!

ケーキツアー入門: おいしいケーキ食べ歩きのススメ

Kindle版
¥1,728から
(2018/4/27 00:00時点)


おしごと依頼等はnyaofunhouse★gmail.com(★→@)まで


アマイタマシイKindle

甘魂者の聖典!「アマイタマシイ」Kindle版好評発売中!!詳細は画像をクリック!
紙媒体でも復刊ドットコムから発売決定!
→復刊ドットコムのページ

長見良の魔法世界

Nyao's Funtime!!は漫画「ファンタジウム」と
長見良の魔法世界を応援します!
「ファンタジウム・パーフェクトエディション」電子書籍で配信開始!

ファンタジウム(1)【Kindle版】

おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


 村上隆 マンガ道場 第10回


以前「ペッパーランチ」と書いて加野瀬氏から思いっきり突っ込まれてしまった
「ペッパーハウス」が身辺整理してたら出てきました。
自分が持っているのは10号、11号、12号の3部。
そのうち12号の「マンガ道場」については、id:sitebbiw氏の
BIG BOREDOM in WWWP-House > 村上隆マンガ道場にある(必読!)ので、
ためしに10回目11回目をあげてみたいと思います。
まずは10回目。1994年1月号です。
タランティーノと士郎正宗についての考察ですね。


 60年代生まれの日本人である私が映面「ブルーベルベット」でのアメ
リカンオールディーズを懐かしく思う時、私の記憶の中には日本で聞い
た印象のファンタジーゾーンとしてのオールディーズの甘酸っぱい記憶
を楽しんでしまいます。しかしそれはアメリカ人が想う懐かしさとのズ
レを抱えてることになかなか気付きません。私もアメリカ人になった気
で懐かしく“あのころ”を楽しんでいます。例えば洋画を見るときの字
幕、この字幕も原語のニュアンスとのズレをどうしてもカバーできない
のですが、観ている私はやはり何の違和感なく、映面の原語として受入
れ、笑ったりエッチな気分になったりしているんですよね。
 よく考えてみれ映画がサイレントだった時代は、言葉がアクターの
動きそのものであり、幕間の字幕こそが情報の全てだったのです。字幕
を見ることで映し出されてないシーンをフィードバックさせ、“画”に時
間や空間をつくりだしてゆく。字幕(又はナレーション)によるコント
ロールに直接的に反応してしまうのですから。これを「レサボアドック
ス」という映面は、たくみに利用していました。この映画の幕間字幕に
よって各キャラクターのプロファイルを紹介してゆき、そのことによっ
て時空を造りだしてゆき、必要以上に物語をスキップさせる。そしてキ
ャラクターの時間軸に視聴者を潜り込ませる手法。しかも字幕のマジッ
クによって。よく時間を移行させる時には使われる手法ですが、キャラ
クター設定においての移動は、映画としては御法度とされていそうなの
ですが。いやだって時の流れをあれだけブツ切りにできる力技を見たこ
となかったもんね。それで「レザボアドックス」の監督タランティーは
深作欣二の「仁義なき戦い」にバイオレンスや文法を学んだと何かで発
言してましたが、その「仁義なき戦い」においての深作氏はたぷん記録
映画に使われていたこの字幕ドキュメンタリーの持つ真実性の“虚”の
部分を拡大表現してみたと思いますが、そのアイデアの源泉をタランチ
ィーノは見事にほじくり返せたのでしょう。
 アニメでは「宇宙戦艦ヤマト」が深作文法をしつこい程使用し(例え
ば「地球滅亡の日まであと267日…」とか)その奇形化したシミュレーシ
ョンとしての「トップをねらえ」の状況説明字幕がありますが、まぁこ
れは何度も書いているのではしょりまして特筆すべきはこれまた私の十
八番ネタ御大士郎正宗先生の、この“字幕”的マンガ進行方法です。
 かつて手塚治虫はマンガを映画のようにヴィジュアル優先で言葉を極
力排除しました。その一つの結論を出したのは手塚ではなく大友克洋の
「童夢」ではあったのですが、マンガの“絵(ヴィジュアル)”を象形文
字と言い、マンガ文法を築いた手塚の歴史は、しかし現代においては多
少なりとも軌道修正が必要となってきたのでしょうか。ドラクエなどで
展開する絵と文字の文法のアンヴィヴァレントな関係、文字を読むスピ
ードの恐るべき速さは、本を読まないとされているファミコン世代こそ
が獲得してしまっているのではないでしょうか。ですから「功殻機動隊」
1巻のラストシーンでのトリップシーンは、まさにドラクエのシーン展開
よろしく、速い文字優先の紙芝居になってゆくのです。古典的な映画的
ではない文法、原始映面的とでも言えばいいのか、この文章によるスピ
ード感は、やはりゲーム大国日本からしか生まれ得なかったと思います。
決してメビウス(フランス)には使えない手法、なにもかもが2ディメン
ショナルな思考法な私たち日本人のスピード感は、今やマンガに、本来
のマンガ表現においてのズレとして、文章の復活を自然に求めているの
かもしれません。


P.S.ART界でのその道のチャレンジャーは何といってもリチャードプリ
ンスでしょう。日本においてBTによる紹介以降の新作の言及が全くなか
ったのはこの国の美術批評に対しての見識の狭さが原因なのですが、ま
さにリチャードプリンスのジョークペイント等は深作的文法の成れの果
てと考えたりするとホント!興味深いコンテクスト出てくんのにねぇ。


DOB(リチャード.P.マイクロイドJr)
108歳 アメリカ ウィスコンシン州
生まれ 父を金鉱掘りに母をフランス
系カナダ人に持つ彼は、幼少のころよ
りすこぷる気性を押さえきれず、数々
の問題を起こすトラブルメーカーだっ
た。18歳、バイクでの交通事故にあい
臨死体験に興味を持つ。その後エベレ
ストヘの単独登頂、北極点単独徒歩到
達、等数々の冒険をなしとげる。38歳、
日本海溝にて機密服着用深度1万メート
ル達成。その時トラブルに巻き込まれ、
完全な臨死体験を起こし体そのものの
変体は可能であるという理論を「深度1
万メートルそして私は」にまとめる。
47歳で消息をたつ。ネズミに似た人語
を話す動物が発見された時。その動物はDOBと名乗り、マイクロイド博士で
あることを確認。彼の変位体は来たるべき宇宙時代における引退変位可能説
に大きな可能性を投げかける。
              HIROPON/PepperShop 1993Japan.