江川達也は天才なのか否か?
「BE FREE!」でみせた後半戦の加速ぶりは、女性のH描写が表現で
きたがゆえに連載ストップをまぬがれたであろうスーパー非意味展開の
マンガであった。もちろん大ドラマの、ラストへのカタルシスに向けて
の意味ある非意味(?)ではあったがその過剰なストーリーの否定はマ
ンガを逸脱することに成功しかけていた。「2001年宇宙の旅」のスペー
スゲートシーンを延々見せ付けられているようなあの描写は、未だマン
ガシーンにおいて他の追従を許していない。 で現在の「東京大学物語」
「ゴールデンボーイ」だ!これがもうすごくすごい!!藤島康介「あぁ女
神様」の天才的女性描写力も一部を手中に収めた江川は無敵である。
「王立宇宙軍」でのシロツグのリイクニ襲撃シーンでみせたリアルHに
も磨きがかかり、(胸のゆれに対して何かフロイト的なこだわりがあるん
とちゃうか?と思われるほどの執拗な緯写)、しかも自作「BE FREE!」
のスピードを「東京大学物語」では妄想シーンとして随所にちりばめら
れ、まさに待ってましたのスーパーマンガである。「さるまん」で竹熊
博士が夢見たであろう世界制覇のマンガは江川達也が実現させているの
だ!!とにかくグサリとくるのが江川筋たる過剰な主人公の1人よがり
シーンがストーリーを凌駕し、ディテールを積み上げることによっての
み構築可能な新文法を次々と作り上げ、そして破壊していることだ。
そして60年代生まれの作家の特徴として「ああ女神様」の藤島にお
いても物語を否定してゆく文法は顕著である。誰がどう見ても「うる星
やつら」の現代版であるが、なぜ現代かといえば、それはディテールの
スーパークオリティーによって話の内容に関係なくキャラがカワイー、
メカがカッコイー、トーンの貼り方うまーい、線キレーで充分商品価値
ありなのである。
そして江川の「まじかるたるる−と」では何人ものマンガ家たちが挑戦
し続けている藤子F不二夫ものではあった。(聖悠紀においての「くるく
るハッX」細野不二雄においての「グーグーガンモ」など)「ゴールデ
ンボーイ」が「俺の空」(本宮ひろし下でのアシスタントキャリアゆえ
のエティプスか?)「東京大学物語」が「タッチ」+遊人とすると、江
川の次のターゲットジャンルは少女マンガか?とすると手塚治虫御大が
とってきたマンガ全ジャンル制覇という行動にどうもクロスするぞ。な
にせ手塚は新人人気マンガ家が登場すると同じマンガ誌に乗り込みつぶ
しにかかってたという極める道=マンガ極道だったのだ。自ら江川漫画
研究所設立を唱っているし、これでクオリティーを下げずに連載を増や
せれば、まさに現代の漫画王となるであろう!!がしかしその天性の器用
さをもってして自らを滅ぼしてしまった(ヒドイ言い方)細野不二彦先
生(「グーグーガンモ」では期待したのに、ラストがしまらなかったよ
ね)になってしまいそうでコワイ。 とにかくいつもの教育、国家、愛と
いう江川の三本柱を超えるNEWコンセプトを開発できた時、もしくは
連載一本体制「アキラ」by大友先生的な大きなライフワークを見付けら
れた時、真のマンガ新世紀を唱えるべきアーティストとなりうるのであ
ろう。(手塚先生でいえばもち「火の鳥」でも私はやっぱり「ブラック
ジャック」がど−しても、ど−しても好きなんです。) 「東京大学物
語」「ゴールデンボーイ」の中にも今後その柱を期待できるかもしれな
い。しかし竹熊健太郎大先生とは…組まないよなあ!!(泣)組んでもら
って本当に子供を洗脳するマンガ教なんてのを開発して欲しいもんだ。
最近ではついにホビージャパン誌上でのインタピューがのっかちゃた
し、小林よしのり風文化人漫画家として社会にドドドーンと登場してゆ
くのか?それとも、ちばてつやのようにみっちりと腰をすえたマン画業
にみがきをかけるのか(私は後者をどうしても望んでしまうのですが…
江川先生、士郎正宗を超えるのはあなたしかおらしまへんで!!
まあ現実には村上さんの願いもむなしく・・・な訳だったのですが。