Nyao's Funtime!!

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おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


「スイーツ男」が語るよん。語っちゃうよぉん。(尾美としのり風に)

スイーツ好きの男性の特徴を見ると、2種類に分けられるのではないだろうか。
一方は、周囲の目を気にして、どこでも手軽に食べられるものを好むライトユーザー。ライトユーザーはスイーツ専門店で食べたり買ったりすることを躊躇するため、買いやすいコンビニなどを主に利用する。
買うのはアイス、プリン、チョコ、シュークリームなどのこってりとした甘さの定番商品や、健康に良いもの、カロリーカット、ダイエット効果があるもので、手軽に食べられることを重視する。また、豆乳や杏仁豆腐などブームに乗った商品を選ぶ。


一方、スイーツ好きであることを公言し、周囲の目を気にしないハードユーザー(スイーツ男)は(中略)味と満足感を重視し、スイーツ専門店やデパ地下に積極的に出向き、お取り寄せも活用して貪欲に新しい味、本物の味を求める。
「ひとりスイーツ」で、1度に2つ、3つ食べることもあるし、女性の友達と一緒になってスイーツを楽しんだりもする。「甘さひかえめ」「動物油脂不使用」などの表示は、味が落ちるからと避けることもある。なかには究極の味を求め、自らスイーツ作りにとりかかる人もいる。

そっか、自分は「スイーツ男」だったのか・・・。ていうか、このネーミングセンスはかつての「アクロス」(http://www.web-across.com/)を思い起こさせますねぇ。


上の記事は長文で力も入っているけど、内容的にはここ最近言われている「甘い物好きな男の人が増えているよ」というもの。ただ甘い物好きの男の人をライトユーザーとコアな「スイーツ男」に分けて、ライトユーザーの裾野の広がりが以前から存在した「スイーツ男」をマーケットとして浮かび上がらせた・・・という分析は面白い。


自分がケーキにはまり始めたのは知っている人は知っているケーキ批評サイト"Neo Panama Project"(現在は長期準備中)で、すばらしいケーキは称揚し、名前に胡坐を書いている店はバッサリ切り捨てるその明快な批評文と情報量に驚愕して、一時はサイトをプリントアウトした紙を持ってケーキ店めぐりをしたこともあります。
そして"Neo Panama Project"の運営をしていたのが男性だったこともとても心強かったです。ここまでレベルの高いケーキ愛好家の男性がいるんだ・・・と初めてそこで知りました。


まあそれ以来「スイーツ男」としておいしいケーキを求めてうろちょろしているわけですが、最近デパ地下やケーキショップを見ていて思うのは、
「(カリスマ)パティシエブームの終焉」ですね。
もう、パティシエの名前でケーキが売れる時代はほぼ終わった、と言えます。
その理由としては、
1.老舗・大手洋菓子店のレベルがものすごく上がっている。
これまでは老舗や大手の洋菓子店の商品はご贈答用の焼き菓子メインで、生ケーキはちょっとオーソドックスというか野暮ったいイメージがありましたが、ここ1年ぐらいで大きく様相が変わっています。
その牽引車となったのは間違いなく「アンリ・シャルパンティエ」で、ここの「パリ・コレクション」のレベルの高さは大手洋菓子店として異常なほど。アイデア・デザイン・細工ともにそんじょそこらのカリスマパティシエのケーキを凌駕している。個人的には最近ちょっと「策士策に溺れた」感のあるピエール・エルメよりも好みです。
それに引っ張られるようにして神戸本拠地のライバル「アンテノール」も急激にレベルが上がっているし、「アンリ・シャルパンティエ」同様パリのパティシエの技術指導を受けている「ペルティエ」や、ここでも何度か取り上げている「ユーハイム」、ほかにも資生堂パーラー、ヨックモック等々・・・。おしなべてクオリティが上がっていて国内の一流パティスリーとの差が縮まってきているのは間違いないです。


2.カリスマパティシエの慢心
大手洋菓子店が傍目には無茶なほど急激なレベルアップをしているのに対して、それまで「カリスマパティシエ」として持ち上げられてきた職人のうち何人かが、残念なことにケーキ作りよりもビジネスに熱をあげている状況があります。店を増やすのはいいのですがそれに反比例して明らかにケーキのクオリティが下がっているのは、かつてのファンとしてはとても残念。マスコミやデベロッパーという不動産屋に必要以上に持ち上げられてしまったんでしょうね。もちろん名声に踊らされず地道においしいケーキを作っているパティシエもたくさんいますが、かつての「鉄人シェフ」の凋落と同様、「カリスマパティシエブーム」を担ってきたパティシエの作るケーキのレベルダウンは、ブームの終焉を強烈に感じさせます。


3.世界の最先端をいくパティスリーの進出ラッシュ
かつては海外のパティスリーの日本進出というのは、現地の最先端を行く店というよりも(偉大なる)ルコント氏やビゴさんのように「伝道師」として日本にやってくるか、大手デパートや商社との提携で適度にジャポナイズされた現地での老舗ブランドがほとんどでした。
そうした状況から、パリの最先端のケーキがほぼ同時期に日本でも味わえるようになった嚆矢は、高島屋に出展した「ジェラール・ミュロ」でしょう。そして、その後ホテル・ニューオータニに出展した「ピエール・エルメ」によってその流れは決定的になり、その後も最先端ブランドの日本への進出は続いています。
それによって、それまで日本のカリスマパティシエのオリジナルだと思われてきた多くのテクニックやアイデアのオリジナルが日本のケーキファンに知られてしまった。また消費者だけでなく街中の普通のケーキ屋さんも当然真似をするわけで、それまでは

  • 海外のオリジナル技法→日本の有名パティシエ→街中のケーキ屋さん

と伝わるのにかなりのタイムラグがあったのが同時進行になってしまった、というのも大きいと思う。


・・・というように「カリスマ・パティシエ」ブームはもう終わりなわけで、日本橋高島屋の"Takashimaya 7 Cakes"の終了がそれを象徴しているのですが、ブームは必ず終わるわけだし、今回のブームが日本の洋菓子全体(作り手・消費者双方)のレベルの底上げにつながったわけだから、ブームの終わり方としては悪くなかったかな、という気がします。
地元に根付いた名店は残るだろうし、ポコポコできた名前だけの店は潰れるでしょう。


↑と、こうやたら語りたがるのもおそらく「スイーツ男」の特徴だったりするかも。それに対して女性の甘いもの好きの人の書く文章は、読んでるだけで美味しそうなのが多い気がする。「スウィーツ愛」の表現の仕方の違いなんでしょうかねぇ。