今週の新宿伊勢丹マ・パティスリーは保谷のアルカションが登場です!
アルカションは自分にとって特別なパティスリーで、なにしろ拙著「ケーキツアー入門」の表紙を飾るケーキはパーデザンジュじゃなきゃやだ!と駄々をこねた次第。そのぐらい惚れ込んでいるのです。
とはいえ、保谷のお店、何度も行っていますが、やっぱり遠いというのは否めない。
なので、催事で新宿に来てくださるのはありがたい限り。
なのですが、今回のマパテの催事、見てみると生ケーキももちろんありますが、ショーケースの半分がタルト・焼き菓子・そして大量のパン!
これには驚きました。
こうしたタルトやパンは、お店では生ケーキが並ぶ冷蔵ショーケースの上にちょこんと置かれているのが通常ですが、催事にはあまり来ない。
本当は、こうした、言っちゃ何だけど地味なお菓子が、パティシエの本当の実力を知ることが出来るのですが、それをマパテに持ってきたというのは、なかなか、逆に攻めてますね。
というか、先日のロタンティック@マパテも焼き菓子をいっぱい持ち込んできたし、もしかしたらこれはマパテの商品構成に意図的な変化があるのか?
このあたりわかりませんが。
今後の推移を見守りたいです。
そんなわけで、今回自分は、何度か食べている生ケーキよりも、今回の催事で積極的に展開しているタルトやパンをいっぱい買ってきました。
ちょっと買いすぎたか?
こんな感じです。
おー!豪勢だ!
ケーキは、季節のアイテム2品のみ。
まずはモンブランから。
アルカションのモンブランは、ちょっと変わってるんですよね。
断面。
このモンブランは、和栗全盛の今でも洋栗を使用。
上に絞られている以外に、タルトの中にも入ってます。
そのタルト、通常はメレンゲのところ、しっかりとしたバターを感じるタルトです。
そして、チョコの層も。
トップにはマロングラッセ。
とても個性的です。
正直、自分はモンブランにはチョコレートを使うと、栗の香りが消えてしまいがちと考えているのですが、このモンブランもちょっとその傾向が。
かつてのリョーコのショコラモンブランみたいに思いっきりチョコに全振りしているのはまた別なのですが。
それに、タルトもかなり味の強い作り。
それに対して、栗は相当に重くて濃いので、なんとか持ちこたえている、という印象。
重くもたった感じのモンブランですね。
そして、タルトタタンですよ。
いい色!
切ってみました。
このタルトタタンは、見ての通りガッツリ火の入ったりんご、焦げ感もバッチリです。
とはいえ、元のりんごはかなり酸っぱいとみえ、酸味がいい感じに残っていて、このあたりは加減がとてもいい。
甘さはかなり控えめです。
さらに生クリームもいっぱい載っているので、焼いたりんごの香ばしい味わいを感じさせながらも、重くなりすぎない。甘くなりすぎない。
これは、タルトタタンを人に推薦するには絶好のタタンですね。味わいはしっかりしながらも食べやすい。
・・と、生ケーキはここまで。
次に、タルト類をいきますよ!
タルト、いっぱい買いました!
まずは、「フラン」を。
フランというと、自分の中では「ブーランジェリーのお菓子」というイメージが強く、パティスリーで展開しているお店もありますが、あまりにもシンプルなので、パティスリー的に手をかけるのは難しいアイテムなのでは・・と思ってました。
そんなイメージでアルカションのフラン食べてみましたが、これはかなり個性的なフランですね!
フランは、通常、中のカスタードクリームがぶりんぶりんに弾力があるものですが、こちらのフランは、とてもなめらか。そして、卵の焼けた香りがとてもいい。タルト部分も厚みが薄く、とても軽やかな印象のフランになってます。どちらかというと無骨なイメージの一般的なフランに対して、とてもエレガントで繊細な味わいのフランです。
ほー、パティスリーが作るフランならではですね、これは。
美味しい。
そして、フルーツタルト3種。
最初にタルトアグリウム。
アグリウム=柑橘類ですね。
こちらのタルトは、土台がピスタチオのクリーム。上にはグレープフルーツとオレンジが。
タルトの中のクリームが、ピスタチオとアーモンドの香りもしますね。とてもいい香り。
タルト生地はかなり薄いです。サクッとしている。
そして、上のフルーツは、かなり強烈に焼きこまれていて、水分がほとんど飛んで、味が凝縮されている。
このあたり、フルーツタルトにみずみずしさを求める人は違和感をおぼえるかも。
自分は、もちろんガッツリ焼いたタルト、大好きです!
次に、タルトポワールを。
こちらのタルトは、アグリウムとは全く違いますね!
こちらは、タルトが意図的にかなり浅く焼かれている。中のクリームも半生状態。
そして、洋梨も火の入りがとても浅く、シロップと果汁でクリームがしっとりとしている。
洋梨のフレッシュな味わいと香りの良さが特筆モノ。
これは、みずみずしいタルト好きも納得の美味しさ。
そして、タルトアブリコ。
今度はうってかわって、表面がこげ茶色です!
こちらのタルトは、口に入れると、焦げ・・というより、スモーキーな香りが。燻製香がします。
ザクッとしたタルト生地はガッツリ焼かれていて、カリッと固め。
あんずは、アグリウムとポワールの中間ですね。セミドライ。
しかし、3種類のタルト、生地の構成だけでなく焼き加減も全て変えてくるとは、その細やかさにあきれるほどですね。
ただ単に焼いてあるだけでない。緻密な計算のもとに、細かく火入れを加減して、フルーツの美味しさを最大限引き出すようにしている。
素晴らしいです。
焼き菓子はもう一個、アマンディーヌルージュです。
確かに赤いけど、地味な見た目・・
切ってみます。
この焼き菓子は、中にベリーを入れたりしていて、味に変化をつけていますが、基本は古典菓子のアマンディーヌ。
シンプルこの上ない焼き菓子で、食べてみてももっさりとした、そっけない味わい。
でも、美味しいですねー。
アーモンドの深い味わいが、じんわりと心にしみます。
でもやっぱり地味なのは地味。それは否めない。
それをマパテに持ってくるのがすごい。
そして、パンも色々。
全部食べましたよー。
まずはクグロフ。
切ってみます。
このクグロフ、生地は水分少なめのざっくりした食感。
でも、水を飲まないと食べられないほどパサパサはしてなくて、ちゃんと適度な水分量はあるので、安心を。
ただ、コーヒーか紅茶と一緒に食べたほうがより美味しいかも。
ラムレーズンがアクセント。
生地は、丁寧に発酵させたことがわかる、滋味深い美味しさ。
生地自体にも甘さはしっかりあって、グラニュー糖もかかっているので、甘さはそこそこある。
菓子パンと思って食べるといいかもです。お茶請けにいい。
パンオレザンも買いました。
パンオレザン、真っ黒!すごい!
これは期待できるのでは・・?
切ってみます。
パンオレザンは、お店によって、クロワッサン的な、というよりパイに近いパリパリの折り込み生地の場合と、クロワッサン的なんだけどパンとしての構成になったふかふかの生地とわかれるんだけど、このパンオレザンは、パン的なつくり。
食べてみると、表面は見ての通り焦げていて、でももちろん嫌な焦げくささではなくて香りのいい焦げ感です。中は、それに対してしっとりした部分もあり、バターの香りも。焼きこんであるわりに水分量は多めで、ずっしりと重量感のあるパンオレザンです。美味しい。
最後、クロワッサン!
ショーケースに大量に置かれたクロワッサン、その実力は・・・
このクロワッサンは、パンオレザンがどっしりとした水分多めの作りに対して、水分を飛ばした、パリパリはらはらとした生地。軽いです。
でも、中心部分はもっちりはしてないんだけど、ある程度しっとりはしていて、軽いだけではない食べごたえは十分にあります。そしてやっぱりバターの香りがいい。
・・ということで、今回はケーキだけじゃなくてタルトもパンもと、ずいぶん欲張ってみました。
こういうのは、催事ではあまりできない体験。
というか、パティスリーの店舗でも、なかなか手が回らない分野でもあります。
そんな、生ケーキだけでない、パティスリーの懐の深さ、それを本気でショーケースに並べた、「うちはケーキだけじゃないんだぜ!」という心意気を感じました。
もしマパテに行かれる方は、ぜひタルトやクグロフ、味わっていただきたく!
アルカションの実力のすごさを感じ取れると思いますよ!