大塚英志 「おたく」の精神史 一九八〇年代論 」を通勤途中に
読みつづけて、ようやく読み終りそう。けっこう大部で読みではありました。
感想などについては後でゆっくり書きますが、現時点でやっぱり気になるのが、
高崎の女児殺害事件。
少なくともマスコミの取り上げ方は大塚氏が「おたくの精神史」で
'80年代の隘路として振り返っている10数年前のあの事件と全く同じ。
詳しく検証すれば差異もでてくるのでしょうが、
「おたく・ネクラ・ロリコン=犯罪予備軍」というパブリックイメージは
今でも健在なんでしょうか*1?
かつての事件のときはまだ「おたく」に対するイメージは
一種の社会不適合者というか、「得体の知れないもの」への排斥といったもので、
そこでは苛烈な糾弾と苛烈な擁護がぶつかっていた印象がありましたが、
押井守が東大でアニメの講義をする現在、そして日本の社会基盤の大きな部分を
かつて「糾弾された」側の人間が占めている現在、マスコミは
もはや中抜けになっているイメージの残骸を非難しているようにしか
見えないのですが。それで、その手ごたえの無さにいらだって
却って高圧的になっているような。
自分としては、この事件について大塚英志や宅八郎に改めて意見を求めるよりも
むしろ、ネットによって「拡散された」新しい時代の「大塚英志、宅八郎」が
どのような形であらわれるのかに興味があります。
関連リンク
http://d.hatena.ne.jp/takanoe/20040319
http://d.hatena.ne.jp/guide/20040320
http://rokusei-so.cocolog-nifty.com/syosai/2004/03/post_6.html
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Palette/1058/index.htm#040313
追記:id:izumisanさんのところで知った驚愕の日刊ゲンダイ記事。
http://news.www.infoseek.co.jp/society/story.html?q=21gendainet0511299&cat=30
あんまりすごいんで、少しだけ引用します。
「少女を相手にする援助交際の市場規模は90年当時は300億円程度でしたが、03年の調査では約600億円と、10年ちょっとでおよそ2倍に膨らんでいます。これはインターネットやアニメなどの影響でおたく化が進み、大人の女性に対してうまく接することができない男性が増加したためと考えられます。今後もロリコン男性は増える一方でしょう」
・・・・どうやって調べたの?
*1:あともうひとつ。こうした悲惨な事件に対して冷静に分析する事を不謹慎と考える不可思議な感性はやはり相変わらずなのでしょうか