Nyao's Funtime!!

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おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


福田美蘭展@東京都美術館を観に行ってきた

自分が心から敬愛するアーティスト、福田美蘭さん。
福田美蘭さんの作品は、父福田繁雄さんが得意としていた「人間の凝り固まった固定観念をユーモアでひっくり返す」というコンセプトを受け継ぎ、さらに「アートとは?」という疑問や、「アートは社会とどのように関わっていくのか?」という問いを、変幻自在の作品で観る者に問いかけてくるのです。
そういう意味では、会田誠に近い存在。でも、会田誠と比べるとよりクレバーで、コンセプチュアル。


自分が最初に福田美蘭さんの作品に出会ったのは1990年代のレントゲン藝術研究所での展示。衝撃的な出会いでした。
その後も展覧会などで出品されることがあるとできるだけ観るようにしてました。世田谷美術館での福田繁雄・福田美蘭親子展は素晴らしかった。


そんな福田美蘭さんの大規模な個展が今日から東京都美術館で開かれる、ということで、初日行って来ました。

東京都美術館では、現在ルーブル美術館展が開催中。それと毎日書道展も開催中。
チケット売り場は全部ルーブル美術館展の専用。福田美蘭展のチケットは、会場入口で購入します。
会場は美術館の一番奥のギャラリー。
地下1階・地下2階が展示スペースです。


会場は4つに区分されていて、「1.日本への眼差し」「2.現実への眼差し」「3.西洋への眼差し」「4.今日を生きる眼差し」というコンセプトになっています。
作品数は約70点。


それで、この展覧会の感想を最初に言っちゃいますが、
作品、少なすぎるよ!
展示スペース狭くて、大作が多いものだから、作品の数が少ない。
彼女の代表的な仕事がいくつも抜けてる。
特に、日本の現代美術史上重要な意味を持つと思っている"Copyright"シリーズがないのは致命的。
しかたがないので、このダイアリーで以前書いた記事から作品をいくつか転載。



【"Copyright"シリーズは、福田美蘭さんがディズニーをモチーフとした作品を描いていたらディズニーから訴えられたことを元に、著作権のギリギリのラインというのはどこにあるのか?を怒りと笑いをこめて制作した作品群。赤瀬川原平さんの偽札作品に匹敵する重要な意義を持つ、と思ってます。】


それと、福田美蘭さんの作品は東西の美術作品をサンプリングしたものが多いのですが、その元ネタをもうちょっと分かるようにしてくれたらよかったのに。
美術史詳しい人はすぐ分かるけど、そうでない人だっていっぱいいるんだから。


そんなわけで、この展覧会の1〜3部での福田美蘭さんの業績の回顧的な作品群は、彼女の多岐にわたる活動のすごさがあんまり伝わらない、ちょっと残念な部分が多かったのですが、3〜4部の、近年の作品は心打たれました。
地下鉄サリン事件以降、福田美蘭さんは社会にコミットした、時事性の高い作品を多く制作するようになるのですが、9.11や3.11を題材にした作品は、未曾有の災害を前にして美術家に何ができるのか、かなり苦悩して苦悩して作られた作品だというのが伝わります。
3.11を受けて描かれた「悲母観音」、サイトで一部分だけ見た時はいまいちピンとこなかったのですが、実物を見ると、子供を抱く観音様の背景には津波で瓦礫と化した街がびっしりと描きこまれているんですね。
時事性と永続性を同時に備えた、気高い作品だと思います。


ということで、東京都美術館の福田美蘭展、福田美蘭さんを知らない人には観に行って欲しいけど、欲しいけど、うーん、「こんなもんか?」と思われるのは悔しいので、うーんうーん・・・
まあいいや。どう思われるかは人それぞれ。もしご覧になって面白い!と思われたら、是非作品集"Picuresque"を購入してみてください。

ピクチュアレスク―Miran Fukuda 1992~1998 (Asahi Art Collection)

ピクチュアレスク―Miran Fukuda 1992~1998 (Asahi Art Collection)

その強烈な攻撃力を知ることができます。

佐々木マキ先生サイン会@吉祥寺美術館

前の記事に書いたように、展覧会「佐々木マキ見本帖」の記念サイン会が2013年5月18日に催されることになっていました。
これは千載一遇のチャンス。一度お会いして、あなたのファンです!とお伝えしたかった。ずっと思ってた。それが叶うなんて。
だけど、同じ思いの人は少なくないだろうと予想され、万全の体制で臨まなくてはこのチャンスをものにできない、と、気を引き締めてかかりました。
なんだけど、せっかく吉祥寺に行くのなら、今度こそアテスウェイ。
でも、二兎追うものは一兎をも得ず、とも言う。
とにかく臨機応変に、慎重かつ大胆に、状況に合わせて行動しよう。
・・・ということで、10時オープンと同時にコピス吉祥寺へ。
すると、エレベーター乗り場にこんな貼り紙が。

なるほど。12時30分にはいないとダメなのね。
でも、状況確認と、展示入れ替えの後期作品を鑑賞しに、吉祥寺美術館へ。
さすがに一番乗りでした。
ゆっくり作品を鑑賞。
漫画の方は、最初期の作品「うみべのまち」が全編展示してありました。
やっぱり線描が美しい・・・ちょびっとホワイトも使ってたけど。作品中、登場人物の男性が読んでいる本のタイトル部分が白く塗りつぶされていたり、とても興味深い。
絵本の原画も、やっぱりきれいだし可愛いし。
本当に作風が幅広い。
村上春樹作品に使われたイラストの原画も何点かありました。


ひと通り観終わって、時間を見ると10時30分。
さて、どうするか。
このまま美術館に留まって12時30分を待つか、いったん抜けてアテスウェイへ向かうか。
いちばん怖いのが、アテスウェイから帰ってきたら既に定員になっている・・・というシナリオ。
悩むー
悩んで、出した結論は、やっぱり中抜けしてアテスウェイへ向かう策。
危険だけど、イチかバチか。
ということで、駅前に戻って、西荻窪駅行きのバスへ。
久しぶりにこのバス乗って思ったのですが、アテスウェイ遠いよ!遠すぎるよ!
早く着けー早く着けー・・・と念じながらイライラとバスに乗ってました。
そして、ようやく東京女子大前のバス停へ。
時間は10時50分。アテスウェイの開店10分前。
店にはすでに行列が。これは予想通り。
でも、それほど列は長くなかったので助かった。
オープンと同時に店に飛び込んで、ケーキ5つ購入。
帰りのバスに乗って、「コピス吉祥寺前」で下車。
ロフト吉祥寺店の裏にちょうどいいベンチがあったので、そこでケーキをむさぼり食いました。
通行人、訝しげな顔をして通り過ぎます。でも気にしなーい。
(食べたケーキについては、次の記事に書きます)


ケーキ完食して、吉祥寺美術館に戻ったのは12時少し過ぎ。
そしたら、たくさんの人!やっぱり!
でも、まだ定員の80人はいないかな。整列とかはさせてないみたい。
ふー・・・間に合ったみたい。
よかった・・・!
その後も人はどんどん膨れ上がり、係員の人が整列をはじめたのが、12時25分ごろ。
一斉にずらっと並びます。
自分は前から20番目ぐらいかな。
そして、定刻の12時30分を過ぎてからはエレベーターから大勢の人が押し出されてきて、12時35分には定員に達したみたい。
12時40分ぐらいに来て、もう定員になったことを聞かされてガッカリしている人、たくさんいました。
そのまま行列で待ち続けること30分、1時から整理券配布の開始。サインしてもらう本を購入して、整理券を受け取ります。
自分は以前から決めていた「ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします」を購入。
整理券を無事受け取ることができました。
あとは、1時50分までに整理券を持って戻ってくればいい、とのことだったので、いったん休憩。
ベン&ジェリーズでアイスを買って、一息。
購入したご本と整理券。


1時50分に再度吉祥寺美術館へ。
そして2時きっかりにサイン会スタートです。
サイン会自体はとてもスムーズ。
それほど待たずに自分の番になりました。
佐々木マキ先生、もうお年なのですが、とても元気そうでした。嬉しい。
自分も歳を重ねて図々しくなってきているので、キョドりながらもとにかくお話をしようと頑張りました。
伝えたのは、
・お会いできてとても嬉しいということ。
・高校生の時に漫画を読んで衝撃を受けたこと。
・今回、原画を観て、とてもきれいなのでびっくりしたこと。
とにかくお伝えしました。
夢がかなった思いでした。
そして、先生からはムッシュ・ムニエルのイラストとサインを描いていただきました。
う、嬉しすぎる・・・
一部だけ公開。

(ツイッターのほうではフルサイズでアップしちゃいましたので、もし興味があればそちらの方を)
サインには為書きや日付はなし。なので転売の危険がちょっと心配ですが、まあ今日来た人にそんな心ない人はいないだろうとも思うので、大丈夫かな。
滞り無くサインを受け取って、素早く離脱。
気がつくと、脇の下めっちゃ汗かいてた。


もう、今はちょっと虚脱状態。
積年の思いがかなって、嬉しいやら切ないやら。
タイムマシンに乗って、高校生時代の自分に自慢したい気分ですよ。

佐々木マキ見本帖に行ってきました。

佐々木マキ先生の作品との出会いは、高校生の時。
高校の図書館に「佐々木マキのナンセンス世界」という本があって、

佐々木マキのナンセンサス世界 (思索ナンセンス選集 (6))

佐々木マキのナンセンサス世界 (思索ナンセンス選集 (6))

もうぶったまげました。
それ以来、佐々木マキといえば絵本作家としても素晴らしいですが、やっぱり過激な漫画家ということになっています自分の中では。
「うみべのまち」も買いましたよー。
うみべのまち 佐々木マキのマンガ1967-81

うみべのまち 佐々木マキのマンガ1967-81

そんな佐々木マキ先生の展覧会がある、との話。

そりゃ全力で行くでしょう。
情報収集したところ、どうやらこの展覧会、前期と後期で展示替えするらしい。
前期は5月15日まで。後期は5月18日から。
ううむ。これは両方行っておくか?
ということで、けっこうギリギリになってしまいましたが、前期の展示を観に吉祥寺美術館行ってきました。


吉祥寺美術館はコピス吉祥寺の7階にあります。

垂れ幕さがってた。
コピスの入り口にもポスターが。

入場料は大人100円です。安!


展示はガロなどに掲載された漫画と絵本の原画。
絵本の原画のほうがちょっと多いけど、漫画の原画もたっぷり観られました。
特に代表作「ピクルス街異聞」がほぼ全ページ原画で観られるのには感激。
原画、すごくキレイ!
ホワイトは全く使ってない。一部切り貼りはしてある部分はあるけど。
下書きの線も、枠線のあたり以外は全くない。
ベタの色ムラで、これが原画だとわかるけど、描線は印刷か?と思うほど完璧な美しさ。
これ、どうやって描いてるんだ?画材は何を使ってるんだ?
すごい。すごすぎる。
絵本の原画は、「くまの木をさがしに」や「ムッシュ・ムニエル」などなど。
単純な線でひたすら可愛い絵から、ガロ時代から続くシュールな絵まで。
芸風は広いけど、ワン・アンド・オンリーの佐々木マキ世界。
たっぷり堪能しました。


5月18日には佐々木マキ先生のサイン会があります。
これ、行きたいなー。
サイン会は80人限定。18日の13時以降に関連書籍を買った人に整理券を配るらしいんだけど、受付の係員さんに聞いたところ、もうすでに問い合わせが殺到しているとのことなので、18日の早めに美術館に行って状況を確認したほうがいいみたい。
潜在的な佐々木マキファンって、かなりいると思うので、ある程度覚悟がいるかも。
うーん。

春!六本木桜&アート&シナボン三昧!

購読しているオオタファインアーツのメールマガジンで知った、サスキア・オルドウォーバースの展覧会。

サスキア・オルドウォーバースの作品にノックアウトされたのが2008年の5月。

その新作が観られるとあれば、これは絶対行かねば!
展覧会は19日からだったんだけど、いつ行こうか・・・
2008年の時点ではオオタファインアーツは勝鬨にあったのですが、その後六本木にカムバックしてきています。
六本木・・・
そういえば、23日は六本木アートナイトなんですよね。
http://www.roppongiartnight.com/
まあ、もう歳なので真夜中のアートイベントとかちょっとツライけど、せっかくだから雰囲気だけでも味わおうかな、と思って、23日に行くことにしました。
更に、今年は春が早くやってきて、桜がすでに満開だとか。
じゃあ六本木で桜見物もしましょうか。
ということで、行ってきました。


六本木といえば、やっぱり行っておきたいのがシナボン。
前回行った時は、普通のシナボンクラシックを食べて、ちょっと物足りなかったので、今回はキャラメルピーカンボンを、と決めてました。
でも、シナボン、人気がありすぎて、安定供給を図るためとか言ってオープンが11時半に変更になってしまいました。
今日は土曜日だし、オープン前に並ぶのかもしれないなーと思って、お店には11時15分ぐらいに到着しました。
先客は数人。まあこれぐらいだったら大丈夫でしょう。
キャラメルピーカンボンとコーヒーです!

キャラメルピーカンボンのアップ。

食べてみました。
!!
あっまーーーい!
これこれ!これですよ!
この、震えのくるような甘さこそシナボンの真骨頂。
ようやく満足しました。リベンジ成功。
420円はちょっと高いけどねー


お昼ごはん代わりにキャラメルピーカンボンを食べて満足したので、いよいよオオタファインアーツへ。
シナボンの店舗から数十メートル、すぐ近くにあるピラミデビルへ。
こんな感じのおしゃれなビルです。

その3階へ。
!ここ、来たことある!
3階に、「オステリア」というレストランがある。
この「オステリア」、生まれて初めて自腹切ってデートに使ったレストランだ。当時相当頑張った。
いやあ思い出深い。
なんて感慨にふけりつつ、オオタファインアーツへ。

ギャラリーに入ると、壁面に映像が投影されている。
ベンチがひとつ。
サスキア・オルドウォーバースの「Pareidolia」(2011年)です。
内容は、日本の弓道に携わった人たちをめぐるストーリーが語られるのですが、茫洋としている。
映像も、語られるモノローグに関係があるような無いような、形容しがたいオブジェがゆらゆらとゆらめいている。
サスキア・オルドウォーバースの公式サイトで一部映像が観られます。
Pareidolia – watch clip, script | Saskia Olde Wolbers


映像が投影されている壁面とベンチとの距離がちょっと遠くて、自分目が悪いので字幕が読めない。
なので、1回目は文字情報は捨てて映像だけを追い、2回目は画面に近寄って字幕を読んで、3回目にもう一度全体を観る・・・というように、3回同じ映像を観ました。
やっぱり好きだ・・・どこがいいのか、説明するのは難しいのだけど。
DVDとか出ないかなーーーー


オオタファインアーツから、今度は六本木ヒルズへ。
途中にアートナイト関連のオブジェがいくつか。


どうやら今年は「船」がテーマみたい。
毛利庭園周辺では「春まつり」が開催されていました。

毛利庭園の桜。池にはやはり船のオブジェが。

毛利庭園からさくら坂へ。
桜、満開です。



天気がねー、ちょっと曇りでした。
でも、さくら坂は人も少なくて、桜のトンネルを歩いていると春が来たな〜という思いが。


六本木ヒルズをあとにして、今度は東京ミッドタウンへ。
ミッドタウンでは、今回のアートナイト関連の「イチハラヒロコ展」を観に。
それと、ミッドタウンの方の桜はどうかなと思って。
東京ミッドタウンでも桜まつりが開催されていました。

こちらの桜まつりは、なんでも外にテーブルをしつらえて、ロゼシャンパンを飲もうということらしく。
オシャレですな〜
でも今日はちょっと寒くて、ロゼシャンパンの日和ではない。残念でしたー
飲んでる人いたけどね。1杯1000円。
東京ミッドタウン側の桜。



ミッドタウンにも船のオブジェが。


桜をひと通り見たあと、ミッドタウンのガレリアへ。
イチハラヒロコ展、ガレリア内で開催しているとのことだったんだけど、ガレリアのどこで開催されてるのか情報がなくて。
????と思っていたのですが。

ガレリア内に入って、すぐにわかりました。

ここ、たしか前すごい広い「MUJI」があったよね?
どこ行っちゃったの?
・・・つまり、東京ミッドタウン、空き店舗があって、その壁が殺風景なのでそこをキャンバスにしてしまおうと。
なるほど、そういう事だったんですね。
ということで、ミッドタウンのガレリア内、上に下に昇り降りしたのですが、
もう、びっくりするぐらい空き店舗多い。
ごく一部を紹介すると・・・










イチハラヒロコの作品が踊れば踊るほど、ミッドタウンの悲惨な現状が浮き彫りになるという。
なんというシリアスでシニカルなアート作品なんだ!
慄然としましたよ。
地下にあった巨大なフードコートもまるごとなくなってたし。
六本木ヒルズは何度もテナント入れ替えやってて大変だなーと思ってたら、ミッドタウンのほうが大変なことになっていたとは。
ほんと大丈夫か六本木。


と、桜&アート三昧、ちょっと最後はビターな雰囲気で終わってしまいましたが。
今日の夜は、アートイベント目白押し。
まだ寒いと思うので、行く人は暖かい格好をしてくださいね。


そして、明日は雨の予報。
桜、散っちゃうのかなー。だとすると4月にはもう花見終了しているという。
もう季節感とかむちゃくちゃです。
春とか夏とか、どうなっちゃうんだろ。

我一塊の肉塊なり〜フランシス・ベーコン展@東京近美

大規模なフランシス・ベーコン展が開かれるということで、楽しみではあったのですが、一方でベーコン展、どうなのよ?という思いも。
だってベーコンこそ現代アートを「いびつなもの」として決定的に位置づけしてしまった人。
会田誠だってベーコンなかりせば、アートとして認知されていたかどうか。
いわば、巨大な暗黒なわけですよ。ベーコンの作品は。
美術を単に「美しいもの」として捉えている人、常識と良識を持った人に対する挑戦なわけで。
だから、今回のベーコン展のサイトで著名人の賛辞を見て、ちょっと違うんじゃないか?と。
ツイッターで「相田みつをと間違えて会田誠展を観に来ちゃったカップル」のほんとかジョークかわからないツイートがあったけど、このページだけ見て興味を持った人がのこのこと観に行ったら、悲惨なことになるんじゃ。
少なくともデートには絶対使っちゃダメ。


で、ベーコン展いつ行こうか?とプランしてたのですが、どうも初日である8日しか空きがない。8日はずすと次が29日になってしまう。
初日かぁ・・・・どうなんだろ。
日経の前宣伝がどこまで浸透してるのかちょっと予想がつかない。
でも、おそらく美術展におしよせるアート大好きおばさんやリタイア団塊世代は来ないんじゃないかと。
初日の午前中から観に来るような酔狂な人は自分のようなサブカル崩れの落伍者か暇な美大生ぐらいじゃないかと。
ということで、イチかバチか、初日のオープン直後を狙って行くことにしました。


竹橋に着いたのは午前10時10分ぐらい。

いい天気!あったかい!
はてさて、美術館のチケット売り場はというと・・・

全然人いない!
ホッとしたのが半分、ちょっと肩透かしが半分。
自分は既にチケットショップでチケット入手してたので、そのまま会場へ。
会場内、ちょうどいい混み具合!
スカスカすぎず、混んでて見えないこともなく。
やっぱり身分不詳のおっさんが多い。ほぼ予想通り。


まず最初に「人物像習作 II」がお出迎え。
いいねいいね!
ベーコンの絵画は大作が多い。
それに対して近美はご存知の通り天井が低い。
この圧迫感たるや。
こうした個展にありがちな、周辺の画家の作品で水増しすることなく、ベーコンの作品が続々と。
正直、クオリティ的には最高傑作ばかり!とはいかないものの、
これだけ集めるのは大変だったと思う。
スフィンクスが4点ずらっと並んでいたのは壮観。
ゴッホモチーフのはちょっとイマイチかなああ・・
教皇モチーフのもちょっと少ない。
会場の後半、三幅対が一気に展示されているスペースも素晴らしかったなあ。
ホモセクシュアリティについては、一部ほのめかす程度であまり正面からは捉えられていなかった。それはちょっと残念ポイント。


全体としては、ベーコン、マイルドベーコン。
足がすくむような、ビリビリくるような、刺激の強い作品はそんなになくて、ピカソやフォービズムとの類似性を感じさせるような身体の変容を描いた作品が多い。
でも、キュビズムやフォービズムの作品と比べて、ベーコンの歪みは突出して気持ち悪い。
マイルドベーコンだけど、やっぱりベーコンはベーコン。観ていて生理的にぞわぞわくる。
この不気味さはどこからくるのだろう・・・
それを考えながら作品を観ていたのですが、思ったのは、ベーコン、人間の肉体の不完全な部分、気持ち悪い部分、それをリアルに描いてるんですよね。
脊柱とか歯とか臀部とかくるぶしとか。
自分自身も含め、人間が肉の塊であることを、強烈につきつけられる。
特徴的なピンクと青、白の色使いは皮膚と動脈・静脈をイメージさせる。
ベーコンの代表作の一つに解体した牛を背景にした人物像、というものがあるけど、ベーコンの歪んだ作品群は、人間を腑分けした様を描いているような気持ちにさせられる。
我一塊の肉塊なり。
人間って、なんでこんなに気持ち悪い形をしてるんだろう。
改めてそう思ってしまう。


でも、展覧会ではそんな事は言えない。言えないから、なんとか状況を糊塗しようと、饒舌になる。
今回の展覧会、ちょっと言葉が多すぎる気がしました。
作品の毒を薄めようと一生懸命になっているような。


土方巽とペーター・ヴェルツの舞踏は、観る前は必要なのか?とも思ったけど、悪くなかったです。
「生きている肉体の限界」が逆にベーコンの歪みを照射していて。



・・・というわけで、フランシス・ベーコン展、彼の作品世界の真髄を知る・・とまでは行かないけれど、なかなかに刺激的な展覧会です。
「なかなかに」・・・うん、良くも悪くも。
まあデートには向かないけどな!

名和晃平「DIRECTION」展

次々と新しい世界を構築し、ひとつところに留まらない名和晃平さん。
大阪阪急の個展は観られなかったけれど、東京のギャラリーで展示があるとのこと。
場所は恵比寿の「TRAUMARIS」。
最終日の今日、滑りこみで行ってきました。


「TRAUMARIS」があるのはナディッフのビルの3階。

オープンが平日は午後4時から、日曜は2時から、ということで、最終日の今日は2時オープン。
1番のりでin。
この「TRAUMARIS」、ギャラリーなんだけどカフェでもあるんですよね。
中央にテーブルがあって、ドリンクを飲んだりもできる。
部屋中に「DIRECTION」の黒いストライプがぎっしり。
その中に「Trans」の彫像が1体。
カフェのカウンターの壁面にビーズの鹿がトロフィーのように飾られていました。
価格は「DIRECTION」シリーズが140万円、「Trans」の彫像が500万円だったかな。
まあ買えたとしてもこんな大きい絵画や彫像、飾る場所がない。


おそるおそる店員さんに写真を撮っていいか聞いたらOKとのこと。
うわあ、すごい。有難い。珍しいですよ。
ということで、邪魔にならないように急いで1枚だけ。

やっぱり刺激的な名和晃平さん、これからも活躍をできるだけ追いかけて行きたいな。
そして久しぶりのナディッフ、欲しいアート本が多すぎてどうにもならない。
アート本、置く場所ないですよもう。ほんと本気で本棚がもうひとつ欲しい。

会田誠展「天才でごめんなさい」を観てきました

それにしても、森美術館で会田誠、大規模個展。感慨深いというか不思議な気持ちというか。
不動産屋の森ビルは嫌いだけど、森美術館はエライと思う。単純に。
http://www.mori.art.museum/contents/aidamakoto_main/index.html
六本木駅にも柱巻のポスターが。

うーん、これはリアルなんだな。
六本木ヒルズにはこんな。


というわけで、森美術館で11月17日からスタートした会田誠展、10時ドンピシャで入場しました。
スタート直後とはいえ、平日の朝ならすいているだろうと思って。



あ、ちなみにチケットはzaikabouさんのツイートで知った新宿西口ロータリーギフトで500円で入手。貧乏人としては助かりました。zaikabouさんありがとうございます。


エレベーターで52階にあがって、それからエスカレーターで53階へ。
入り口には巨大な赤ちょうちんが。ここから展覧会、すでにスタートしてます。
会場に入ろうとしたら、なんと音声ガイドが無料で貸与されるとのこと。
しかもこの音声ガイド、会田誠本人の作品解説インタビューがふんだんに盛り込まれているという説明。
自分は音声ガイドって作品鑑賞の邪魔にしかならないと思っているのですが、今回ばかりは使ってみることにしました。


会場に入ると、まずはいきなり切腹女子高生のカウンターパンチから。
そして戦争画Returns。ビールケースの上にベニヤ板を敷いて、その上に展示されています。
その後も代表作が次々と出現。自分が会田誠作品との最初の出会い、ポスターシリーズも、教室の掲示板に画鋲で留めたような展示方法になっていました。
懐かしいな〜最初にこれ見た時は驚いたな〜


今回の会田誠展、正直森美術館の広大な敷地では間延びするんじゃないかという危惧もあったのですが、杞憂でした。
過去の代表作だけでなく、ここ数年の作品や、今回の展覧会のための完全新作も多くて、会田誠作品はずいぶん観てきたつもりの自分でもじゅうぶん刺激を受けることができた。


展示会場の中間地点ぐらいでおにぎり仮面の「考えない人」の立体があるのですが、これは実はカメラ撮影可。
うわーしまった、カメラ、クロークに置いてきちゃったよ。
残念。


ビンクの小腸の部屋もドラッギーだったし、アメリカ人・ドイツ人・フランス人に扮するビデオインスタレーションも笑ったし、自殺未遂マシーンのお子様バージョンがあるのを知ったし、こうして一堂に会すると、その取りとめの無さが改めて実感されて、たしかに「天才でごめんなさい」だよなーと。
でも圧巻だったのは大作ばかりを並べた部屋。
代表作「ジューサーミキサー」と「灰色の山」が並べてあり、その対面には新作、というかまだ作成途中の「ジャンブル・オブ・100 フラワーズ」が。
「ジャンブル・オブ・100 フラワーズ」、素晴らしかったです。
集大成と言っていいんじゃないかな。
ファンシーと残虐が混ぜこぜになった世界。日本人の美少女。
日本の現代美術のひとつの到達点。と思った。観ていて。
でもこれ、まだ未完成らしいから、もう一回観に行きたいな。


会場の終盤に話題の18禁部屋が。
展示されていたのは雪月花シリーズ、声ちゃんの写真、ミュータント花子、巨大フジ隊員などなど。
まあ森美術館ってその特異性から家族連れも来るしお年寄りも来るし・・・なのでこうして囲ったのはやむを得ないかな。
むしろ、よくぞ展示してくれた。
会田誠芸術の重要な部分だから、これ展示しないと片手落ちだしね。


最後の最後はモニュメント・フォー・ナッシングII。これも会期中制作されるらしいので、もう一度観たいかな。
・・・ということで、全部観終わって時間を見たら約1時間半経過。
知ってる作品もあったし、ビデオインスタレーションもじっくりとは観なかったので1時間半だけど、初めての人やじっくり観たい人は2時間以上かかると思ったほうがいいです。



しかし、会田誠展・・・これがファーストコンタクトの人って、どういう反応なんだろう。
いきなり切腹女子高生だもんな。腸ずるずるだもんな。びっくりするよな。
でも、会田誠のすごさは網羅されていたと思うので、衝撃&感動、する人はたくさん出てくると思う。
出てきて欲しいというか。
まあ、とにかく、何にしてもめでたいです。