Nyao's Funtime!!

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長見良の魔法世界

Nyao's Funtime!!は漫画「ファンタジウム」と
長見良の魔法世界を応援します!
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ファンタジウム(1)【Kindle版】

おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


「ファンタジウム」で語られる凛々しく美しい言葉たち

雑誌「モーニングツー」が月刊化しての第2号が先日発売されました。

モーニング2 2008年 7/2号 [雑誌]

モーニング2 2008年 7/2号 [雑誌]

今号では「ファンタジウム」が一挙100ページ掲載!ということで楽しみにしてました。それにしても・・月刊誌だとしても、きょうび100ページって。


・・・で、読んだ感想なのですが、正直に言ってちょっと微妙な部分がありました。やっぱり連載もので100ページは多すぎ。なかでも時事問題の絡ませ方等々・・に違和感というか蛇足かな?という思いがありました。


という部分を差し引いても、「ファンタジウム」、かなりの名作だと思っています。

ファンタジウム(1) (モーニング KC)

ファンタジウム(1) (モーニング KC)

ファンタジウム(2) (モーニング KC)

ファンタジウム(2) (モーニング KC)

少し前にもここで紹介したのですが、

↑の記事ではマジックの描写の素晴らしさについて書いたのですが、今度は作中に出てくる言葉を紹介。(ネタバレあり)


簡単な人物紹介。

  • 長見良:中学2年生の男の子。往年の名マジシャン北條龍五郎に手ほどきを受け、天才的なマジックの技量を持つ反面「文字の読み書きがほとんどできない」という障害(ディスレクシア)も持っていて、普通の学校には通えない境遇。
  • 北條英明:ごく普通のサラリーマン。祖父が往年の名マジシャンだった縁から長見良と知り合い、マネージャー兼後見人をすることになる。

そんな感じで。

(良がマジックを始める際の口上)
紳士淑女の皆さん!

(良がマジックのステージ中に、両親がいるテーブルに置いてあったガラスの鉢を前にして)
今日は両親が来てくれています
まだ小さい頃
こんな鉢に入れた水に月が映ったのを見て
きれいで……
不思議で……
そのまま夜道をさ迷っていた時
父が息を切らして捜しに来た
川に落ちたとでも思ったんでしょう
見つけた時に一言も叱らず一緒に夜道を歩いてくれた
きのうのことみたいに覚えています
そしていつか自分の手で一生忘れられない不思議なことをつくり出せたらと思うようになりました
あの頃は
痛みや寂しさもなくて
誰かを憎いなんて思うこともなかった……
皆さんもそんな頃を忘れないでください
では……
よい夜を……

(北條のところに身を寄せることが決まった時の良の言葉)
今思い返しても凄く不思議だなって思う
龍五郎さんがおじさんと会わせてくれた気がする
だとしたら……人間は……たとえ死んでもほんとうにいなくなるってことはないのかもしれない

(マジックコンテスト(AMC)に出る直前の良と英明の会話)
英明:いいけど今日来た目的忘れんなよ!!
良:え?
英明:賞金とトロフィーとれ!
   必ず勝てよ!
良:うーん
  競争するのは好きじゃないけどなー
  やなんだけどなー
英明:コンテストに出て賞をとるってのはそれだけハクがつくんだよ!
   何年たっても芽が出ないマジシャンとは違う!!
   良は本物だ 絶対一流になれる そのためには勝つんだ!!
良:何で?
英明:少年漫画だってそうだろ 男は努力して強くなって敵を倒して上に立つもんだ!!
良:(驚いて)えっ 何で?どうして!!
  そういう攻撃的な発想はどっから来るんだろうね?

(再び通い始めた中学校でいきなり挫折した良と英明の会話)
良:おじさんてさ
  もしかして今までどう苦しんでも手の届かないことやできないことがあって
  徹底的にコケにされたり人間性問われたりしたことない?
英明:! ないな……正直−−
   ない!
良:そうか……
  そうだろうな
  もちろん……
  今の世の中ってそういうふうに生きてこれる人間がいるんだなあ!!

(学校で)
良:先生っ
  ボクS字結腸が痛いんで保健室へ行きます

(夕暮れ時に良と英明が草むらに寝転んで)
英明:良!!思い出したよ 昔 本で読んだ……
   日没前後のわずかな時間のことを……映画撮影のカメラマンの世界では……
マジック・アワーって呼ぶんだよ
良:マジック?
英明:昼や夜の光は明るさと暗さに二極化するけれど……この少ない時間の空は……どちらにも属さない特別な光だから幻想的な空間を創造することができる
”魔法の時間”
それは世界がもっとも美しく見えるひとときのことなんだ
良:……それ
  なんかかっこいいな!
英明:良……人並みになんて……ならなくていい
   変えられない自分を持っていることは……辛いことが多いだろうけど
   皆がありふれた毎日の中で見過ごして……忘れている……大切なものを知っていればいい
   無意識でも……こんなふうに
   おまえが自由や……心ゆさぶるものを求めてどうしようもなくさまようこと
   決して忘れるな!
   そして誰かに与えるんだよ
   おまえにはその力がある!

(学校で特殊授業を教える山村先生と良の会話)
良:先生 こんな時間のことマジック・アワーって言うの知ってる?
山村:マジック?
良:それは昼の光にも夜の光にも属さない
  わずかな時間だけど独特のすばらしさがある光で……
  この世界がいちばん美しく見えるひとときなんだって
山村:きみは詩人ですねえ!
良:違うんだ このことはおじさんが本で読んだって
  言葉って凄い
  それで……こんなことが書いてあるのなら……
  俺 本を読めるようになりたい
  なれるかな?
山村:なれますよ!
   必ず!

(話題のスピリチュアル・リーダー「サカキ・シン」との会話)
良:マジシャンだろ?
  本当は!
サカキ:忠言しよう……凡人は”才能”が大好きだから
    食い物にされないよう気をつけなさい
    凄い早さで側に来た者は
    同じくらいの早さでいなくなるものだ
    君はまだ若くて
    人生を知らない……

(テレビ出演が決まって良と英明の会話)
良:テレビごときで俺がチヤホヤされるとでも?
  あの陰湿なクラスのガキどもは面白くないだろうな
英明:いや多分皆を見返すチャンスだと思って−−
良:現実なんてそんな簡単に変わらない
  小学生のときよく一人で目をつぶってて
  1・2・3て数えて目をあけたら
  誰にもがっかりされない自分になって
  みんなも仲良くしてくれて
  父ちゃんと母ちゃんも俺のことでケンカしなくなってくれる
  そんな奇跡が起きないかって……
  でも一度だって俺の望むようには変わってくれなかった
  自分を取り巻いていることは何一つ

(テレビ出演が決まって良と山村先生との会話)
山村:聞きましたよ長見くん!
   テレビに出るんですってね!!おめでとう!!
良:山村先生まで……
  めでたくなんかないよー 仕事なんだし……
山村:いやいや 大変なことですよ!!
   ディスレクシアの子供が社会で抜きん出るなんて
   同じ障害を持つ人に勇気を与えることができるじゃないですか!!
   読み書き障害の自覚のない子が周囲からバカとか怠けているとか自覚もないまま言われ続けていると!
   本当にそういう人間になってしまうんですよ
   人生をそんなふうにした責任を誰もとってくれません     

(テレビ出演したことで逆にボコボコにされて 良のモノローグ)
いてててッ
クソあいつら
思い切り……やりやがったっ
…………
目では見えない……
手で触れることもできない……
だから……傷つけるんだな……
何かが見えてたわけじゃない
ただ鳥が飛ぶみたいに
ただ川が流れるみたいに
人間の中にだって……捉えられるべきでない
何かがあるって……感じてるだけだ……
サカキさんの言うとおり才能がなくなれば
おじさんは去っていくかもしれない
どれだけ簡単に
人が人を見捨てるか……
……俺は知ってる
いくら願っても
決して奇跡が……起きないってことも……
それでも……
(目を閉じて)


3つ数えて目を開いた良の目の前に見えた光景は・・・
是非単行本で確認してみてください。


関連:長見良の公式サイト http://www.ryomagic.com


追記:作者の杉本亜未先生のブログページがありました。
http://sugimotoami.cocolog-nifty.com/blog/