日記形式のホームページ「ブログ」が、九月十一日に投開票が行われる衆議院総選挙をめぐる世論形成に影響を与えそうだ。今月八日の衆院解散決定後、人気ブログランキングで総選挙や郵政民営化をテーマにしたものが上位に並び、ブログの運営サイトも相次いで総選挙特集を始めた。
という記事も出たように、今回の選挙は「ブログ」の力がどの程度影響するのかが初めて問われた選挙だったという側面もあったようです。
開票結果を受けて、その影響を検証したサイトをいくつか回りましたが、おおむね「ブログは今回の結果にある一定の影響力を与えたけど決定的というほどでもなかった」という結論が多かった気がします。
個人的には2chの「まとめサイト」系を含めた「ネット世論」の影響力は決して小さくなかったように思えました。ただ、ブログに関しては、特に有名どころは比較的冷静な分析に徹しているところが多く、オピニオン・リーダー的に世論を引っ張るほどまでではなかった?とも感じましたが。(このあたり詳しい人教えてください)
とはいえ、「ネット世論」や「ブログ」に政治家側も敏感になってきているのは事実で、
「今回はブログ普及後で初の選挙」自民党幹部がブロガーら33人と懇談会
はその象徴的なイベントだったと思います。
このイベントには近藤社長も出席されて、それもずいぶん話題になりましたが、このイベントそれ自体は「自民党はネット世論にも気を配っていますよ」というプレゼンテーション以上の効果はなかったように思います。良くも悪くも。
ただ、これからは状況が変わってくるかもしれません。
日本も今ではイメージ戦略抜きで選挙を戦うことはありえないわけですが、その力点がこれまではほぼ100%マスメディアに向けられていたものが、今後はかなりの割合で「ネット世論の形成」に費やされるだろうというのは予想できます。
2chではもはやそれが公然の事実化しているみたいだし(だって覗いてみると数レスに1度は「工作員」「工作員」て書いてあるし)、まあ読む側もそれは認識しているのだろうけども、ブログの領域は現状もっとナイーヴというか、「ブログ=個人」という認識が強いので、ひっそりとあるムードを醸成する「工作活動」はある意味2chより適しているかもしれない。
・・・まあこれは政治に限った話ではないのですが、選挙結果を見ながらつらつらとそんなことを考えていたときに、こんな記事が。
ユーキャンパス、学生マーケティング集団「Buzz Agent」の個人ブログと連動した新サービスを開始
学生マーケティング集団Buzz Agentを組織化
個人ブログと連動した新サービスを開始
バズエージェントとは、人気ブログの保有者や有名サークルのリーダーなど、当社が選考した、既に影響力のある学生のことを指しています。
クライアントは彼らに対して商品やサービスをプロモーションし、その後ブログなどWEBを中心とした彼らがもっている媒体の中で商品やサービスについて紹介してもらうシステムで、タレントなどではなく等身大のオピニオンリーダーを巻き込んだ、新しいマーケティング手法です。
メンバーは、これまで当社が蓄積したデータベースとネットワークをもとに、下記のいずれかの基準をクリアしている情報感度の高い学生を選考しています。
・ 個人のブログが1日に50人以上見られている
・ SNS*で友達が50人以上登録してある
・ 50人以上の学生団体および組織に所属している現在はBuzz Agentとして約50名登録しており、彼らのプロフィールはWEB上で一部公開しています。
http://www.e-tamariba.com/agent.html
当サービスは、二段階に分かれています。
●マーケティング調査
[1]登録しているバズエージェントから、依頼された商品やサービスのターゲットとしてふさわしいメンバーを選び、依頼された人数を集める。
[2]マーケティング調査を実施し、商品やサービスについて率直に意見交換をしてもらう。
[3]最終的に、その商品を気に入ったかどうかを確認する。↓ 参加したエージェントの半数以上※が気に入った場合のみ次の段階に進みます
●クチコミブロコミPR
[4]エージェントが持っているブログやSNS、サークルのメーリングリストなどで、商品やサービスの紹介を本人の言葉で書き込んでもらう。
・・・このやり方、ちょっと引っかかる。
ただ、これは強調しておきたいのですが、この会社はとても良心的で、
* 書き込みの際、自分がバズエージェントであること、バズエージェントの会合で商品を紹介されたことなどを公にすることで、広告記事やいわゆるやらせ記事との差別化を図ります。
* 会場への交通費以外は、基本的にエージェントへの報酬はありません。※ 商品を気に入ったメンバーの割合が半数を満たなかった場合には、マーケティング調査として終了し、その後ブログなどへの書き込みは実施されません。バズエージェントに対して掲載費や広告費など費用を支払うものではなく、本人がその商品をよいと認めた場合のみ本人の言葉で書き込みをしてもらうのが特徴です。
と、クライアントへの訴求力を弱めてまで「公正」を維持しようとしている。これはなかなかできない。非常に良識を持っている素晴らしい会社だと思います。
でも、もっと悪辣な意思を持った組織がこの手法を悪用したら・・・?
あるいはもう既に?
question:1126506225
追記:
これまでも「口コミ」でヒットした商品の多くが、背後に目に見えないプロモーションがあったであろうことは想像に難くないわけで、更にネットの強力な伝播力が加われば爆発的なヒットも可能・・・早くからその手法を取り入れて成長した@Cosmeや最大の収穫「電車男」を考えれば目新しいことでもないのかもしれません。
ただ、「電車男」的な手法はそれこそ「諸刃の剣」で下手をうつと現在の大騒動みたいになるし、それよりは現状ではブログを利用したほうが楽といえば楽。しかも企業臭を消せるし。
・・・というプロモーション手法の萌芽がアフィリエイトではないかと思うのです。*1アフィリエイトは自分も利用しているしポジティブな面が多いのは間違いないんだけど、行き過ぎると「アフィリエイト脳」だよと喝破されてもいる。つまりクライアント側にとってやりやすい下地が既にできている。
それでもアフィリエイトはブロガーさんたち個々人の良識にまかせた手法。クライアントにしてみればちょっとまどろっこしい。
もっと大規模なプロモーションをそれとなく行なうには、アフィリエイトに期待するよりもブログを組織化するほうが効率的。まあこれも諸刃の剣だけどボロさえ出さなければ・・・という考えにたどり着いてもおかしくないような気はします。
上記のquestion:1126506225、今のところ決定的な回答はないので、単なる杞憂に過ぎないのかもしれませんが。
*1:あるいははてなダイアリーの「○○ほしい!」キャンペーンなんかもその一種かも。一部の人からは忌避されているし