Nyao's Funtime!!

nyao(♂)の不可逆な日々を、チェスの騎士のように不規則にたどたどしく綴っていこうと思っています。

拙著「ケーキツアー入門」好評発売中!

ケーキツアー入門: おいしいケーキ食べ歩きのススメ

Kindle版
¥1,728から
(2018/4/27 00:00時点)


おしごと依頼等はnyaofunhouse★gmail.com(★→@)まで


アマイタマシイKindle

甘魂者の聖典!「アマイタマシイ」Kindle版好評発売中!!詳細は画像をクリック!
紙媒体でも復刊ドットコムから発売決定!
→復刊ドットコムのページ

長見良の魔法世界

Nyao's Funtime!!は漫画「ファンタジウム」と
長見良の魔法世界を応援します!
「ファンタジウム・パーフェクトエディション」電子書籍で配信開始!

ファンタジウム(1)【Kindle版】

おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


特選シンセ・レコード@1980

「早坂未紀の世界」を運営されているAZICON1さんから、非常に貴重な雑誌を譲っていただきました。


「実戦シンセサイザー エレクトロ・マシン入門の決定版 これでキミもYMOサウンドにチャレンジ」


電波新聞社・"Audio"別冊
昭和55年(1980年)10月30日発行


時代的には「増殖∞」のころ。
あのフジカセットの「磁性紀」キャンペーン広告もちゃんと掲載されていました。
「フジカセットの「磁性紀」キャンペーン
ただ、カラーグラビアページで紹介されているのはYMOではなく、「シンセ族最前線ルポ」。
このあたり、さすが電波新聞社。


「シンセ族」のトップを飾っているのが、ローランドSYSTEM100を傍らに従えた女子中学生。
「シンセ族最前線ルポ」
和様建築の部屋にコードびこびこのシンセ、そしておめかしした'80年代風の髪型の女の子。
「私は翔んでるテクノ・ギャル」のあおり文・・・。
いろんなものが凝縮されています。


白黒グラビアの特集記事は「イエロー・マジック・オーケストラのすべて その軌跡と未来を探る」とようやくYMO絡みの記事になるのですが、記事スペースの半分以上がなせか当時のシンセ・レコードのセレクションコーナーになっていて、YMOの扱いがなんだか小さい。
ディスコグラフィーにしても、例えば「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」の紹介文が

デビュー作から数えてほぼ1年ぶりに発表されたセカンド・アルバム。目立った変化はみられないが、いくぶんオリエンタル・ムードが薄れて、ヨーロピアン・ムードが強められている。デビュー作を上回る新鮮味、あるいは斬新性は望めないとしても、ビートルズ・ナンバーを入れて親しみやすさが強められるなど、スケールという点で大きく飛躍した。

と、なんだか突き放したような物言い。
さすが電波新聞社。(こればっか)


ちなみに、YMO特集の半分以上を占める「特選シンセ・レコード」のリストは以下のとおり。


シンセ・レコード(海外盤)特別27選

  1. ヨーロッパ特急:クラフトワーク ヨーロッパ特急
  2. 人間解体:クラフトワーク 人間解体
  3. 幻想アンドロイド:チューブウェイ・アーミー Replicas (Reis)
  4. エレクトリック・ショック!:ゲイリー・ニューマン Pleasure Principle (Reis)
  5. フェードラ:タンジェリン・ドリーム フェードラ(紙ジャケット仕様)
  6. ルビコン:タンジェリン・ドリーム ルビコン(紙ジャケット仕様)
  7. タングラム:タンジェリン・ドリーム Tangram: Definitive Edition
  8. エイジス:エドガー・フローゼ Ages
  9. プラスティックの中の未来:ザ・バグルス Age of Plastic
  10. メタル・ヒート:ジョン・フォックス メタマティック(紙ジャケット仕様)
  11. 幻の果てに:ヒューマン・リーグ Travelogue
  12. 螺旋:ヴァンゲリス Spiral
  13. チャイナ:ヴァンゲリス China
  14. ミュージック・ファクトリー:フライング・リザーズ ミュージック・ファクトリー
  15. 幻想惑星:ジャン・ミッシェル・ジャール Oxygene
  16. 軌跡:ジャン・ミッシェル・ジャール Equinoxe
  17. テイク・アウェイ:アンディ・パートリッジ
  18. 鏡面界:ブライアン・イーノ ザ・プラトウ・オブ・ミラー(紙ジャケット仕様)
  19. アナザー・グリーン・ワールド:ブライアン・イーノ アナザー・グリーン・ワールド(紙ジャケット仕様)
  20. エレクトリック・ファンタジー:オーケストラ・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク Orchestral Manoeuvres In The Dark
  21. ファンキー・タウン:リップス asin:B0000071ML(画像なし)
  22. ニューヨーク・ロンドン・パリ・ミュンヘン:M New York London Paris Munich
  23. コレクト・ユース・オブ・ソープ:マガジン Correct Use of Soap
  24. スター・トレック〜ブラック・ホール:ミーコ Star Wars & Other Galactic Funk*1
  25. ハッピー・エンディング:テリー・ライリー (未CD化?)
  26. サスペリア:ゴブリン サスペリア完全版(サントラ)
  27. テクノ革命:テレックス (CD=ALCA-557 廃盤)

シンセレコード(国内盤)特別10選

  1. 月の光:冨田勲 月の光
  2. 惑星:冨田勲 惑星
  3. バミューダ・トライアングル:冨田勲 バミューダ・トライアングル
  4. OASIS:喜多郎 OASIS
  5. シルクロード:喜多郎 NHK特集「シルクロード」オリジナル・サウンドトラック シルクロード
  6. デジタル・ミステリー・ツアー:茂木由多加 デジタル・ミステリー・ツアー(紙ジャケット仕様)
  7. フライト・インフォメーション:茂木由多加 (未CD化)
  8. 我が心はいまだ安らかならず:バッハ・リヴォリューション 我が心いまだ安らかならず
  9. No Warning:バッハ・リヴォリューション NO WARNING
  10. エレクトロポップス・オブ・ビートルズ'80 asin:B00005F7X9(画像なし)

このリスト見て思い出したのですが、そういえば当時はYMOは所詮流行のディスコという認識があって、また、特に硬派な音楽雑誌ではシンセを使った音楽のヒエラルキーが厳然とあった気がする。
それは、
クラシックモチーフもの*2>>フュージョン系>>ニューウェーヴ>>>>>ディスコ(YMOはここ)
上のアルバムセレクションやYMOに対する冷たさはそうした思想背景がある気がします。


YMO特集のすぐ後ろからはいよいよ実戦編なのですが、
第1章の「よくわかるシンセサイザー講座」の講師がいきなり平沢進だったりして、またびっくり。
「よくわかるシンセサイザー講座」
この先はどんどんマニアックな方向に進んでいって、ラジカセ2台でのピンポン録音の方法とか(やりましたよー自分も・・・)、
4trカセットレコーダーを使って「東風」の多重録音の方法とか、最後にはシンセサイザー自作講座まで・・・。
VCOの回路図
さすが電波新聞社。感服です。

*1:画像は"Star Wars and Other Galactic Funk"のもの

*2:"Switched-On Bach"を始祖とし、冨田勲を頂点とする