松永貴志くん、最近よくTVで見かけますね。
最初は「誰でもピカソ」で紹介されていたのを
たまたま目にしていたのですが、ここのところ
ワイドショーやバラエティでひっぱりだこ。
どの番組でも紹介のされ方はほとんど一緒で
「17歳の天才高校生ジャズピアニスト」
「ハンク・ジョーンズが絶賛!」
・・・で、試しに一曲ということで演奏するのが
「宿題」という、オリジナル曲。それで
「おおーっ!こんな難曲をいともたやすく・・・
しかもオリジナル?・・・天才だ!」となるわけ
なのですが。
この「宿題」という曲は早弾きのオリジナルで、
しかもタイトルがいかにも高校生らしいから、
「天才高校生」としての彼の紹介にはもってこい
なのでしょう。
ただ、この曲自体は、あまりいい曲とは思えない。
彼の公式サイトでアルバム曲を試聴しましたが、
「宿題」よりだいぶマシな曲もいっぱいあって、
特にスロー系の曲はなかなか悪くない。
おそらく彼も「宿題」以外の曲も披露したいのでは?
だけどTV受けする曲ばかり演奏させられているんだろうな〜
・・・と予想しますが。
正直、彼の演奏はまだ表現力に乏しいところがあって、
特にグルーヴがほとんど感じられない。
現時点では早熟の天才にありがちな、「精巧なイミテーション」
に留まっていると思います。
彼がそこから抜け出すには、もう少し時間が必要でしょうが、
天才、天才と持ち上げているマスコミが彼をスポイルして
しまわないか、心配です。
「早熟の天才」で真っ先に浮かぶのは、この人、
スティービー・ワンダー。
日本では彼の幼少期の活躍はあまり知られていないかも
しれませんが、スティービーこそ真の神童です。
冒頭のジャケット写真のThe Jazz Soul of Little Stevieの中で、
彼はピアノ、オルガン、ハーモニカ、ドラム、ボンゴを
演奏していますが、このとき彼はまだ11歳ですよ!!
そして彼のすごい所は、この後一度挫折し、そこから
音楽を最初から学びなおし、その才能を努力で高めて
歴史に残る名曲をいくつも作りだしたところ。
松永くんも、自分を見失わないで、頑張って!