相変わらず攻勢を続ける新宿伊勢丹マ・パティスリー。
今週は待ってましたのジュンウジタです。
実はマ・パティスリー、ここ数回に渡って裏テーマがあって、それは
「タルトタタン」!
マパテに出店する名パティスリーが、思い思いのタルトタタンを販売するという、
タルトタタン大好きさんの自分にとっては夢のよう。
実は先週のカカオエット・パリのタルトタタンものぞいてきたのですが、ちょっと値段的に高いかなー?という感じで見送ったのですが・・
ジュンウジタのタルトタタン、どんなだろ?
たのしみですー!
そんなわけでジュンウジタ@マパテのショーケース、見てみたのですが・・・
なんか、すごい。
茶色いケーキと黒いケーキしかない。
こんなにも華やかさに欠けるショーケースでいいのか?
いや、いいのだ!
茶色いケーキも、黒いケーキも、見るからに美味しそう!
絶対美味しいよ!と語りかけてくるよう。
なもんで、ケーキ選ぶのも苦労して、結局これだけ買っちゃいました。
茶色いでしょ?
ジュンウジタのケーキ、まずは、並んでいた中で唯一といってもいい、茶色くないケーキ、「ムースマスカルポーネ」を。
これはなかなかさわやかそうでない?
切ってみました。
で、食べてみたのですが・・
これが、マスカルポーネのムースが、ミルキーな味もあるのですが、ごってりと濃厚で。
グラサージュがホワイトチョコなのかな?これもかなり濃ゆい。
中に入ってるあんずのコンポートは、これも味を凝縮した、あんず独特の酸味と甘さが。
可憐な見かけに反して、めっちゃ濃厚なムースケーキです。
非常に個性的で、独自性があって、美味しい。
初手からガツン!と来ました。
次に、これ楽しみだったガトーアキテーヌを。
ほんのり赤いケーキですが。
切ってみます。
このケーキ、表面のジュレは「ヴァン・ショー」をイメージした赤ワインとスパイスのジュレ。
そして、スポンジに上下を挟まれた間には、刻んだプルーンがいっぱい入ったムースが。
このプルーンも、セミドライかな?味がとっても濃い。酸味も甘みもしっかりと凝縮されている。
あと、シナモンの香りも漂ってきて、赤ワインはアルコールこそほぼないものの、ちゃんと赤ワインの味がわかる。確かにヴァン・ショーだわこれ。
これは、完全に秋冬のケーキですね。こってりとしていて、甘くて、スパイシーで、気持ちが落ち着く美味しさ。
これすごく好きです!
そして、来ましたよタルトタタン。
ジュンウジタのタルトタタンはこんなでした!
真っ黒!
粉糖かかってるけど、真っ黒!
アップにしてみると、こんなです。
切ってみると、こんなです。
で、期待のタルトタタンなのですが・・
もう、すごい!
完全に飴。飴です。これ。
すごい!を通り越して笑ってしまう。
口の中に入れると、ねちゃっとした飴の甘さが最初に来て、次に焦げくささが来て、でも最後に火を入れたりんごの美味しさが口の中に広がる。
自分、タルトタタンけっこう食べてますが、ここまで徹底的に火入れしたりんごは、そうそうない。
飴、だけどりんご、そしてカルバドスの香りも。
いやー、これは必食のタルトタタンですよ!
そして、これは潔いフォルムに惚れた、ガトーダマンド。
このシンプルな佇まい。アーモンド生地とバタークリームだけ。
なかなか思い切りがよくないと出来ないですよね。
見かけ、一見昔ながらの洋菓子屋さんに並ぶケーキのよう。
だけど、食べてみると、これが思わず唸ってしまう。
シンプルだけど、生地がアーモンドの香りがとにかくすごくて、その豊かな香りに圧倒される。
ちょっと官能的ですらある。
いやー、すごい。
ここまで食べて思ったのですが、ジュンウジタ、鎌倉のパティスリー雪ノ下から独立してお店持った当初は、すごく地味なケーキをいっぱい作ってたんですよね。
当時、自分食べててあれれ?と思ったのです。
でも、その後、どんどんケーキのフォルムも味も洗練されてきて、すごいなーすごいなーと思っていたのですが、先日お店をリニューアルした際に、またシンプル路線に戻ったのではないか?と思うのです。
原点回帰。
だけど、単なる昔に戻りました、じゃなくて、めちゃくちゃパワーアップして、その力量を最大限生かしながら敢えてシンプルなケーキを作る。
そういう方向にシフトしているのではないか。
今回ショーケースに並ぶ茶色いケーキたちを見て、実際に食べてその美味しさに触れて、そんな気がしました。
茶色いケーキはまだまだ続きますよ。
次は、ミルフォイユノルマンディです。
このブワッと膨らんだパイ生地。これが、焦げ感もある、とても香ばしい、軽やかな生地。
それに対して、中にはカルバドス入りの生クリームと、煮りんごが挟まれている。
この生クリーム、カルバドスのお酒っぽさがしっかりで、でも、甘さはほとんどない。
非常にストイックな味。
甘さは、表面のメレンゲと、煮りんごが補っている形。
でも、全体としてかなり甘さ抑えめの作りになってる。
甘さよりも苦さや香ばしさが前面に出た、とても大人っぽい味わいのミルフィーユです。
この境地はすごい。
そして、またも茶色いケーキ、ムースキャラメルノワゼットです。
このシンプルなフォルム!
これでいいのか?と思うほど。一切の飾りを排した、シンプルすぎるほどのスタイル。
断面。
このケーキ、食べてみると、とにかくヘーゼルナッツの香りがブワッと来る。
ヘーゼルナッツのペーストをそのまま食べているかのよう。
もちろん、ペーストそのままであるはずもなく、中央に組み込まれたコーヒーのブリュレや、ヘーゼルナッツと共に感じられるキャラメルの甘さやコクが、ヘーゼルナッツの香りをより引き立てている。
実に力強い、ナッティなんて言葉では言い表せない、ナッツの美味しさを凝縮したケーキです。
最後に、満を持してのチョコケーキ、マルキーズです。
切ってみます。
このケーキは、トップに固めのチョコクリーム、その下にメレンゲ、中はチョコムースと、中にもメレンゲが。
このチョコのムースが、これが、ジュンウジタ自家製のチョコを使っているとのことですが、ビター。
ビターというよりビタービター。
甘さを極限まで抑えた、強烈な苦味を持ったチョコムース。
さらに、ラム酒もガッツリ効かせてある。
これは、完全にアダルトオンリー。半端な気持ちでは吹き飛ばされてしまいそう。
これは紅茶よりも深煎りのコーヒーか、赤ワインが合いそう。
なんというか、凄みを感じさせるケーキです。
生ケーキは以上なのですが、最後に、焼き菓子コーナーに置いてあったケーキが、フォルムに惹かれて買ってしまいました。
ファンショネットです。
これ!可愛い!
大きさは小さめのアントルメサイズ。
かなり大きいです。
なんか、フジウに置いてありそうな、古典の風格を持ったケーキですよね。
調べてみたら、やっぱり古典菓子だそうです。
切ってみました。
このケーキは、タルト生地の中にアーモンドの生地、そしてラズベリージャムをひと塗りして上にこんもりメレンゲという構成。
これもシンプルな構成ですが、これが・・・めっちゃ美味しい!
アーモンド生地が、これが、ガトーダマンドの時も思いましたが、アーモンドの香りが強く感じられて、めちゃ美味なのです。
それに対して、上のメレンゲはふわふわ甘々、タルト生地はほんのり塩気で、さらに、ラズベリージャムとアプリコットジャムが、果実味が素晴らしくて、これもめっちゃ美味。
いやー、たまらん。
これは大ヒットだわ。
シンプルな味わいなんだけど、全く飽きが来ない。
古典のすごさを味わえます。
・・・ということで、ジュンウジタのケーキ、見事にどれも茶色かったですが、とてつもなく美味でした。
確かにフルーツてんこ盛りとか、色とりどりのカラフルなムースとかではないですが、次々と繰り出される茶色いケーキには滋味深い・・というより、生地の圧倒的な強さを感じました。
間違いなく、宇治田シェフ、パワーアップしている。
華やかさには欠けるケーキですが、そんなことをすっとばした、圧倒的な美味しさがここにあります。
ぜひマパテ行ってみてください!
自分は、やっぱりまた碑文谷行かないとなーと思いました。まだまだ宇治田シェフの茶色いケーキいっぱい食べたいです!