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おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


国分寺の洋菓子舗茂右衛門の潔いケーキ

洋菓子舗茂右衛門さんについては、いろんな評価を耳にしていました。
・お酒ガッツリなのでお酒弱い人は厳しい
・突飛な組み合わせのケーキが多数
・濃厚な味わいなのでケーキ初心者はツラい
・なによりケーキ屋さんに見えない門構え!
などなど・・・
なんか、ちょっとビビってしまいますね。
でも、一度行ってみたいお店でもありましたし、いつかは行きたいとずっと思っていて。
そんなこともあって、ようやく今回味を確かめるために行ってみました。
はたして鬼が出るか蛇が出るか。

茂右衛門さんのお店は、国分寺駅を出て徒歩数分。
意外といい立地ですが、なぜか半地下。
薄暗い中にひっそりとありました。
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店内、言われていたように、掛け軸がかけられていて、まるで茶室か何かのよう。
壁には半紙に墨でケーキの名前書いてあるし。
確かに個性的だわ。

ケーキのあるショーケースはそれほど大きくなく、ケーキの種類もさほど多くはない。
大別すると「四角いケーキ」「三角のタルト」「その他」に分類できる。
四角いケーキは、ほとんど飾りもなく、まさにケーキのパーツだけで勝負している。
タルトも焼きっぱなし。飾りっ気は全く無し。
潔いですなー。
そんな中、四角いケーキを4つと、タルトを3つ購入。
中央特快に乗ってビューンと帰ってきました。


茂右衛門のケーキ、まずは「サンバルテルミー」から。
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白くて四角いです!
説明書きによるとマンゴーのジュレパイナップルココナッツムースココナッツダクワーズ・・あとホワイトラム。
上にはバニラビーンズの粒が。
これが噂の茂右衛門のケーキか!
ということでおそるおそる食べてみたのですが・・・

美味しい!
美味しいじゃないですか。
このケーキは、ココナッツの香りがかなり強め。バニラと相俟ってトロピカルな甘さを演出しています。ココナッツは、独特のシャリシャリした食感もあり。
パイナップルやマンゴーの使い方も奇をてらったところはなく、素直にトロピカルな味わいに寄与している。更にふわっと香る程度のラム酒が甘さに南国の風をプラス。初夏にふさわしい、とても美味しいケーキでした。
もっととてつもない味のケーキが出てくるかと身構えていたので、拍子抜けすると共に、これは素直に楽しんだらいいんだな、と方向転換。
次のケーキと対峙しました。

次は、キャフェベネディクティン。
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このケーキは、コーヒーのババロアにベネディクティンとベルモットのサヴァイヲン、コーヒーのアーモンド生地。
食べてみると、コーヒーの味がガツンと来ます。
子供っぽいコーヒー牛乳的な味ではなく、コーヒーの酸味、渋み、苦味が全部出た、大人のコーヒー味。
それに薬草酒の苦味が加わって、相当な苦さ。
でも、これ、嫌いじゃない。好き好き。
それは、苦さや酸味の中に、バランスを取った甘さがあるから。
ちゃんとケーキとして成立しているし、苦みばしったコーヒーとハーブのケーキとして、とても美味しい。
お酒の使い方も必然性を感じるし、「お酒強すぎてダメダメ!」ということは全く無く。
いいじゃないですか。

次、エスカパードゥ。
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これは、パイナップルライチマンゴーミントチョコムースチョコサブレチョコビスキュイ。
このケーキ、基本はチョコケーキです。なんだけど、かなりスパイシーに感じますね。パッションフルーツの味も強く出ていて、トロピカルなフルーツとチョコレートにミントが足されると、まるでパクチーのようなエスニックな香りになる。
チョコと適度な酸味はよく合う組み合わせなわけで、更に言うとチョコミントも鉄板の組み合わせ。
だから、これも独創的だけど必然性のある味の組み合わせ。生のミントを刻んだというのは面白いけど、決してゲテモノ趣味ではない。美味しいです。


そして、スペシャリテの「あんことくろみつ」。
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これ、美味しい!すごく美味しいじゃないですか!
確かに大納言を使っていたり、和菓子的な要素は強い。けれど、そこにラム酒が加わることで、しっかり洋菓子の方向に引き戻されているんですね。
ダークラムはかなり強めで、ムースにすると、ティラミスやカヌレのような気品のある甘さになるんですよね。これがとても効いている。そして、ラム酒とあんこが合う、というのも新しい発見。
これはすごく気に入りました。癖になる味。これの倍の大きさだって食べられそう。


ということで、まずはガトー編。
食べてみて感じたのは、これは素直に味を楽しめばいいんだという。
確かにイル・プルー系の香りはしましたし、面白い組み合わせだと思うケーキもありましたが、素材の組み合わせはよく練られたもので、驚かしてやろうという意図よりも、美味しくしよう、という気持ちが伝わってきて、なんか普通にすごく美味しかったぞ。
なるほどねー。


そして、次にタルト編。
まずはタルト・シトロンから。
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このタルト・シトロン、レモンの香りがいいですなー。
レモンの酸味と甘さ、両方とも強くて、それにレモンの皮の香りがとてもいい。
パイ状のタルト生地はサクッと軽く、レモンクリームの味を邪魔してない。


次に、ベルギービールのタルト。
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これ、名前からしてちょっとキワモノっぽい・・?と思ったのですが、
これも普通に美味しい。
中のアパレイユは卵リッチで、ふんわりフランのような味わい。その中に感じるほのかな黒糖のような甘さとわずかな苦味がビールなのかな?単にフランだけだと味が単調になるところを、ビールで奥行きを出しているのは、アイデアだと思う。


最後、黒糖のキャラメルとくるみのタルト。
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このタルト、実は箱にこんな文言が。
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そんなこともあって、室温において最後に食べたのですが、
それでも固い!30分は余裕で置いておいたのに固い!
キャラメルがガッチリねっちょりとしていて、濃厚な味わいが素晴らしいです。
くるみの香ばしさに黒糖の香ばしさが加わって、非常に満足度の高いタルトになっています。
こんな固いキャラメル、なかなかお目にかかれないよ。


そんなわけで、茂右衛門さんのケーキ、たっぷり堪能しました。
ケーキの形は四角形、タルトは丸く焼いて三角に切り分け、と、虚飾を徹底的に排除したシンプルなたたずまいのケーキは、美味しさがストレートに伝わってくるものでした。
フルーツやスパイス、お酒の使い方も、感性でというよりは、理詰めで組み合わせているように感じましたね。
自分はイル・プルーよりも好きかも。
次回は、土日に行って名物のシュークリーム、食べてみたいと思います。
ごちそうさまでした!