ルコント、というのは、特別な響きがあります。
今から何十年も前、まともなパティスリーなんてほとんどなかった頃に、ルコントは本場フランスの美味しいケーキをたくさん売っていて、何度もお世話になりました。
新宿伊勢丹の地下にもおっきな売り場持ってて、威容を誇っていました。
自分が四谷に引っ越して、青山一丁目のルコントに行かれるのがとても嬉しくて。
すぐに一度行って、パリブレストとウフ・アラネージュ食べました。
どっちも美味しかったけど、ウフ・アラネージュはほんと最高でしたねー。
これからはいつでもここに来て美味しいケーキやデザートを食べることができる。
うふんうふん。
・・・と思ったら、ルコント、お店全部閉めてしまいました。
あわー・・・
まあ、アンドレ・ルコント氏はずいぶん前に亡くなっていたし、これも時代なのかなー
なんか、寂しいです。
でも、1960年代から本場のフランスの味を届けてくれたお店に感謝!
・・・と思ったら、ルコント、復活しましたよ。
http://www.a-lecomte.com
場所は広尾。
ホントはねー、青山一丁目にまた戻ってきたら最高なのですが。
でも、近々行きたいなー
とか思っていたのですが、この度、新宿伊勢丹のマ・パティスリーに出店とのこと。
新宿伊勢丹への、久しぶりの里帰り。
これは見届けないと。
ということで、行ってきました。
マパテのショーケースを見ると、
スウリーちゃんがいない!
なにそれ!スウリーちゃんあってのルコントでしょ!
もーうぷんすか。
でも、ないものは仕方ない。
ケーキ3つと、名物フルーツケーキのカットを購入。
ルコントのケーキ箱、マパテであっても、こんなふうに包装してくれていました。
いいなー。これ。
ルコントのロゴいりの包装紙。
自分が子供の時分は、ケーキ屋さんの箱を包んでいた包装紙を大事にとっておいて、本のカバーにしたりランチョンマット代わりにしたり、有効活用していたものです。
最近はあんまりそういうの流行らなくなってしまって、ケーキ屋さんのケーキ箱は畳みやすい簡素な単なる白い箱が主流。リボンも包装紙もあんまり見かけなくなってしまった。
なんか懐かしいなあー。
そんなわけでルコントのケーキ。最初は「トロペジェンヌ」。
あれ?これ、トロペジェンヌ?
どっから見てもサバランかババオラムだよね?
トロペジェンヌって、もっと別のケーキなような気がするんだけど。
でも、マパテのプレートには確かに「トロペジェンヌ」と書いてあった。見間違えてないはず。
ルコントのトロペジェンヌはババなのか?
うーん、詳しい人プリーズ。
切ってみました。
たっぷりのシロップ。ラムがこれでもかというほど入っていて、
お酒弱い人なら酔っ払うこと間違いなし。
素晴らしく美味しいです。
力強さがある。
モンブラン行きます。
モンブラン、マパテのプレートには土台がスポンジと書いてあって、そっかーと思ったのですが、切ってみると
なんだ、ちゃんと焼きメレンゲじゃん。そうでなきゃおかしいよね。
中にスポンジははさんでいるけど、ごく薄い。
そして、このマロンクリームが、マロンペーストと生クリームと、あとバター使っていると思う。非常にしっかりと固いクリーム。バタクリの固さ。
栗が濃厚!とかではないのですが、全体としてフランス菓子の古典的な美味しさがある。
そして、フォレノワール。
まさに教科書通りのフォレノワール。
そして、食べてみても、忠実なフォレノワールで、文句のつけようがない。
少し前にフォレノワールについて、
1.フォレノワールはチェリーがたっぷり入っているべし!
2.フォレノワールはキルシュがたっぷり効いているべし!
3.フォレノワールはチョコクリームが濃厚であるべし!
4.フォレノワールはふんわりとした食感を保つべし!
と書きましたが、全てをきれいにクリアしている。
美味しい美味しい。
最後に、名物のフルーツケーキを。
ちょっと薄いけど、ドライフルーツがこれでもかと入っていて、
食べごたえあります。アプリコットの酸味がわりと強かった。
ルコントのケーキ、久々に食べました。
正直食べる前は、「さすがにもうルコントの時代は終わっていて、古臭く感じるんじゃないかなー」と危惧していましたが、
「古さ」は確かにあるけど、「古臭さ」ではない。臭くはなかったです全然。
河田シェフの言う「ベーシックは美味しい」という言葉がピッタリとあてはまる。
何度か書いていますが、自分はケーキの古典とか基本に敬意を払っていない人の作るケーキはダメだと思うのです。
ベーシックを否定する人のクリエイションは、どんなに才能があっても浅い。
ルコントのケーキは、だから、今後もあり続けて欲しい、あり続ける必要のあるケーキだと思うのです。
道しるべとして。
ルコントのケーキ、美味しく食べながら、ちょっとじんわり心に沁みましたね。