観てきました。
前にこの展覧会について書いた時には、タイトルは↓のようにしてみたのですが。
というのも、なんといってもこの展覧会の目玉は牛腸茂雄さんの「SELF AND OTHERS」全60枚の展示にあるわけで、それとその他の現代美術作品をどう絡ませるのかがとても楽しみでした。
ギャラリーに入ると、まずは日本の近代画の巨匠たちによる自画像の列挙からはじまって、オプ・アートあり、ビデオアートあり、舟越さんの彫刻あり・・・と、かなりとっちらか・・バラエティーに富んだ内容。
テーマについても当初の「自己/他者」から「見るもの/見られるもの」と拡大解釈されていて、そうなるとなんでもありだよなあという。
結果、総花的「現代アート入門」としてとてもよくまとまっているんだけど、本来のテーマ「自己と他者」については、若干焦点がぼやけている気がしました。
牛腸茂雄さんの「SELF AND OTHERS」は会場の後半、一番いい場所に展示されていて、やはりこの展覧会はこの作品ありきで企画されたものだということを確認。
牛腸作品のオリジナルプリントには初めて対面したのですが、すごく良かった。
個人的にはポートレート写真はあまり好きではないのですが、彼の写真には以前からなぜか強く心惹かれるものがあって。なんでだろう?と不思議だったのですが、今回の展示で、理由が少し分かった気がしました。
それは、ポートレート写真の多くが被写体の外面も内面も美も醜も白日の下に晒してしまうのに対して、「SELF AND OTHERS」では少年や少女の生命力、素直な心、体温の暖かさ、人間の持つ美しさ・・・そういったポジティヴな面が、邪心やあざとさを全く感じさせずに、ストレートに写されている。とてもシンプルで、とても強い。
写真は、被写体とともに、撮影した人の内面が写っている・・人間は醜いのか、美しいのか。それは自分の内面に依存するんだ、というちょっと陳腐な考えを再認識させられました。ほんとに、「SELF AND OTHERS」なんですね・・・。
展覧会は3月9日(日)までです。
- 作者: 牛腸茂雄
- 出版社/メーカー: 未来社
- 発売日: 1994/06
- メディア: 大型本
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