以前に書いた東京国立近代美術館の企画展「ばらばらになった身体」を観てきました。
- 東京国立近代美術館で河原温の「浴室」シリーズ全28点一挙公開 - Nyao’s Funtime!!
- http://www.momat.go.jp/Honkan/Body_in_Pieces/index.html
「『浴室』シリーズ全作品公開のための企画展」というのは言い過ぎかもしれないけれど、多分当たってると思う。
ひとつの小部屋をぐるりと囲んだ28枚の異形のドローイングは、その空間に入った瞬間からなんとも形容しがたい空気を醸成していました。
製作順に並べられた作品を連続して眺めていてはじめて分かったこと。
1番最初の作品に描かれた、タイル張りの「浴室」は、画面に対してほんの少し傾いた構図になっています。そこには無防備な裸をさらした女性や男性が自らの体を切断しながら佇んでいます。
それが2枚目以降、左右に傾きがどんどん大きくなり、そのうち遊園地の「びっくりハウス」のように天井と壁との区別もつかなくなり、ついには画用紙の形まで五角形や六角形に変形しはじめるのです。
そこで画面は一度長方形に戻るのですが、今度は「浴室」の空間そのものが歪んできてしまう。その歪みは生き物のように伸縮を繰り返し、ついには・・!爆発・・粉砕・・・。すべての物体は細切れになって終わるのです。
ひとつひとつの作品でも恐ろしい破壊力を持っているのに、こんな物語性まで有していたとは・・。ちょっとしばらく立ち尽くしてしまって、なかなか動けませんでした。
ところで、河原温の初期作品はジャニーズ顔負けなくらい徹底的に、印刷物やネットでの公開が規制されているのですが、今回の企画展も、「浴室」がメイン展示物なのにもかかわらず、作品ガイドのリーフレットにすら一枚の画像もない徹底ぶりでした。
ただ、唯一例外的に、一度初期作品集が出版されました。が、入手は困難です。

- 作者: 河原温
- 出版社/メーカー: PARCO出版
- 発売日: 1991/11
- メディア: 大型本
- クリック: 18回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
長々書きましたが、結局「浴室」ってどういう作品なのよ?と思われた方へ。
できればこの展覧会、15日までやってますので、是非観てもらいたい。
でもなかなかそうもいかないでしょうから、なんとか画像をと思って、ネットで検索してみて、1枚だけ「浴室」シリーズの画像がみつかりました。
興味のある方は、どうぞ。
これは28枚の中の、最後のほうの1枚。この他の27枚も是非!