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 ドレミファソラシドはなぜ「ドレミファソラティド」なのか?

上のエントリのおかげで今日一日はファンク日和だったのですが、スライの
"Sing A Simple Song"を久しぶりに聴いていて、以前から漠然と思ってた疑問
「どう聴いても"Do-Re-Mi-Fa-So-La-Ti-Do"って歌ってるよな〜」を
解決しようと思って調べてみました。


まず、ドレミの語源から。

ドレミの音階は、1024年6月24日にイタリアの僧侶ギドー・ダレッツオにより考え出されたものとされています。カトリック教会での「聖ヨハネの生誕」の祝日に歌われる『聖ヨハネ讃歌』の歌詞の各節の歌い出しの音が、順々に一音ずつ上がっているので、それぞれの音の名前として、各節の歌い出しの歌詞である「Ut・Re・Mi・Fa・Sol・La」をつけたそうです。

 [ Ut queant laxis resonare fibris Mira gestorum famuli tuorum, Solve polluti labii reatum, Sancte Ioannes. ](汝のしもべが、弦をかきなでて、汝の妙なるわざをたたえ得るように、このけがれある唇の罪をのぞかせたまえ、聖ヨハネよ)

しかしまだこの時点では6音しかなく、「シ」が付け加えられたのは17世紀頃で、「Sancte Ioannes(聖ヨハネ)」の頭文字をとって「Si(シ)」と名づけられたようです。また、現在の「ド」にあたる「Ut(ウト)」は発音がしにくいため、これもずっと後の時代になってから「Dominus(支配者)」の「Do(ド)」に変更されたようです。なお、フランスでは「ド」の音としていまだに「Ut(ウト)」が用いられており、歴史の奥深さを感じさせられます。

え、ドもドじゃなかったんだ・・・。



上のサイトに『サウンド・オブ・ミュージック』の名曲「ドレミの歌」の歌詞も
載っていました。
たしかにあれも「ドレミファソラティ」だった記憶があります。

Do-Re-Mi

Doe, a deer, a female deer
Ray, a drop of golden sun
Me, a name I call myself
Far, a long, long way to run
Sew, a needle pulling thread
La, a note to follow sew
Tea, a drink with jam and bread
That will bring us back to Do

Do Re Mi Fa So La Ti Do
Do Ti La So Fa Mi Re

Do Mi Mi
Mi So So
Re Fa Fa
La Ti Ti 


つまりこういうことみたいです。

  • 本来のドレミ  :" ut re mi fa sol la si"(フランスなどでは今でもこれ)
  • アメリカのドレミ:" do re mi fa so la ti"
  • 日本のドレミ  :" do re mi fa so la si"

じゃあなんでsi→ tiになったかというのは、どうやらイギリスの音楽教育で用いられる
「トニック・ソルファ法」というのが元にあるようで

トニック・ソルファ法もコダーイ・システムもド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、ティ、という7つのシラブルが階名として用いられ、第七音にシではなく、te(もしくはti)〔ティ〕を用いる。いわゆる半音階的な変化は、シラブル名の母音を変えることによって示され、♯音にはトニック・ソルファ法では母音 e が付き、コダーイ・システムでは母音iが付けられる。
(中略)
日本の音楽教育に、いずれかの階名の方法を取り入れようとするならば、まずシをティと呼び、 r と l を聞き分けたり、区別して発音したりすることが必要となる。
しかし、日本人にとってこの r と l の使い分けはほとんど不可能であり、全国での画一的な使用に至るには、多くの問題を残している。

小学校音楽教育における相対音感の発達についての研究より(PDFファイル)
どうやらこの「トニック・ソルファ法」では、シャープつき、フラットつきの音も
元来の音階の母音の部分を変えることで全て一音で呼べるようにしようというものらしく


ド ド# レ レ# ミ ファ ファ# ソ ソ# ラ ラ# シ ド シ シ.b ラ ラ.b ソ ソ.b ファ ミ ミ.b レ レ.b ドは

Doh De Ray Re Me Fah Fe Soh Se La Le Te Doh Te Ta Lah La Soh Sa Fa Me Ma Ray Ra Doh

となるそうです。
(自分なんかには同じに思えるド#と レ.b も"De"と"Ra"と区別するとか)


で、si→tiの理由は「シ」と「ソ」はどちらも子音が"S"なので「シ」のほうを
「ティ」と変えた・・・ということらしい。


それで、アメリカには親であるイギリスの音楽教育が伝わって、
「ドレミの歌」やスライは「ドレミファソラティド」と歌ってるわけらしいです。


日本でこのメソッドが伝わらなかった理由は上記引用部にもありますが、
「レ#」を"Re"、「ラ#」を"Le"と発音するのは日本人には無理ということらしい。
だから日本では英米式に「ティ」とは言わず、原典に近い「シ」を採用しているのですね。
(あとは日本の音楽は基本的にドイツ経由というのが大きいのかも。
業界用語でも5万円のこと「ゲー万」*1と言ったとか聞くし。)

*1:ゲーは"G"のドイツ語読み