この前、新宿の青山ブックセンターをぶらぶらしてたら、邪悪なオーラを
放っている一角があり、思わずそちらを振り向いてしまいました。
そのオーラの中心にあったのが、この本。
・・・・しかも、アイドル写真集かと思う大型豪華本。
以前、私の通ってた大学にドクターが講演をしにくるというので、
わざわざ聞きに行ったことがあります。
・・・いやぁ、すごかったです。
「いい意味で」狂気とも思えるほどの自己顕示欲と勤勉さに
圧倒されました。
しかも、そのすべてを「発明」に結び付けようとする確固たる意思。
例えば、
日本人の食生活を憂う
↓
天才である自分の食生活を分析すればよい
↓
そのために、20年間毎日3食の献立を写真撮影
(講演の時に、実際にスライドで見せてもらった)
↓
「頭においしいスナック」を発明
この思考ルーチン、常人には真似できない・・・・と
唖然としたものです。
その講演会の会場で「頭においしいスナック」や
「目においしいスナック」を販売していたので、
実際に買って食べてみました。
・・・普通のクラッカーでしたね。味は悪くなかったです。
ただ、この「頭においしい」という言葉は、間違いなく
彼の発明の中でも非常に優れているものだと思います。
彼は、発明の才能は良く分かりませんが、間違いなく
コピーライターとしては優秀だと思いますね。
決して「頭がよくなる」ではなく、「頭においしい」。
この、薬事法や景品表示法スレスレの、絶妙なネーミング。
他にも「醤油チュルチュル」「ジャンピングシューズ」「ラブ・ジェット」。
実際の使い勝手や効能はともかく、どれも商品名は本当に素晴らしい。
また、有名な話ですが、「発明の数がエジソンを抜いて世界一」。
これも、「特許の数」ではなく「発明の数」。絶妙です。
今回の本「発明王伝説」でも、ドクターの波乱の人生や偉大な発明の数々を
豊富な図版を使って解説していますが、「吉田茂に・・」「昭和天皇に・・」
「フロッピーディスクを・・・」といった有名な逸話にまつわる
数多くの疑念を絶妙な間合いで回避していくその語り口は、
まるでボクサーのスウェイバック&ダッキングを見ているかのようです。
その意味で「スリル・サスペンスとロマン」の副題は伊達ではないですね。