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おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


トレカルムのケーキに、色々考えさせられる

さて、新宿伊勢丹マ・パティスリーの7月攻勢、第3週はトレカルム!です。

トレカルムは、自分、本店に1度、マパテで1度、計2回ケーキ食べてます。
その時の印象としては、美味しいとは思うんだけど、どうもポイントをつかみきれない、というか、
「これだ!」という部分をまだキャッチできてない。
そんなモヤモヤが残っているんですよね。
それが、今回解消できるといいんだけど。


ということで、トレカルムのケーキ、夏らしいケーキからちょっと重めのチョコケーキまで、色々購入しました。
こんな感じ。
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でも、その前に・・・


実は、先日伊勢丹洋菓子売場の常設店パトロールをしていたら、ノワ・ドゥ・ブールで、いくつか面白いケーキを見つけて。
それも今回買ってみました。
それがこちら。
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トレカルムも楽しみだけど、まずはこちらから食べてみることに。


ノワ・ドゥ・ブールのケーキ、まずはミルフィーユから。
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このミルフィーユは、注文を受けてから組み立てる、出来立てが売り。
なので、自分も家に帰って速攻で食べてみました。

出来立てということもあって、パイはカリッと香ばしい。
ちょっと固めだけど、香りもいいし、なかなか。
中のクリームは、固めに炊かれたカスタード。これも悪くない。
もうちょっとムースリーヌのバター感があれば最高だけど、これはなかなか良くできたミルフィーユではないかと。
やるなあ。


次に、これも注目していた桃のタルト。
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このタイプの、まるごと桃一個のケーキ、ここ最近すっごく流行ってますよね。
ノワ・ドゥ・ブールでも作られるんだから、そりゃ相当だわ。
はたして、ここのはどうでしょうか・・・
断面。
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おー!ちゃんと仕事してあるじゃん。
では、味の方は・・
というと、うーん・・・
桃が、イマイチ美味しくないんですよねー。すごく不味い、とは言わないけど、ポルトボヌールやエチエンヌやパクタージュの桃と比べちゃうと、やっぱりちょっと・・やや薬臭いのも気になったところ。
下のタルトは、クレームダマンドはないタイプで、焼きも浅め、ちょっと生の小麦粉の香りが。
このケーキについては、もうちょっと頑張ろうかな、という感じ。
決して悪くはないけど、もっと美味しいまるごと桃のケーキはあるよ!と感じですかねー。


最後に、ムラングシャンティ。
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ムラングシャンティを出すなんて、その心意気だけでもよし!と言いたい。
ムラシャンの時代が来た!のか?そこまで流行しているとは思ってなかったんだけど・・
さて、ではノワ・ドゥ・ブールのムラングシャンティ、切ってみますよー
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ナイフ入れたら、メレンゲがぶふぁっ!と四散してしまった・・
このメレンゲ、見ての通り中に大きな空洞はあるし、下は吸水してねちゃっとしてるし、全体の食感もよくないし、ちょっと残念メレンゲですねー。
生クリームも、いまひとつ。
ムラングシャンティみたいに、シンプルだけに実力がもろに出てしまうケーキは、やっぱりちょっと無謀だったのではないかと・・・
ムラシャンを作る、というその考えは敬意を表すけど、これがムラングシャンティだ!と思われるのはちょっと困るかも。


そんなわけで、まずはトレカルムの露払いとしてノワ・ドゥ・ブールのケーキ、3つばかり食べましたが、
うーん、まあ、やっぱり、それなり?かなあ。
お店のコンセプトからして、凝ったケーキよりもシンプルな古典菓子を作る、というその姿勢は素晴らしい、と思うけど、それはとても難しいことだということを、ちょっと考えさせられましたねー。
コンセプトは決して悪くないので、頑張って欲しいです!



と、ここで一息。
休憩ののち、トレカルム行きますよー!!


トレカルムのケーキ、まずは、こちらでもムラシャン。ムラングエピスです。
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これ、断面図撮り忘れてた。申し訳ない。
簡単に説明すると、断面、生クリームの中にレモンクリームが入ってました。
そして、上からはスパイス(ナツメグ?)がかかっていて。
このムラシャン、メレンゲ部分はさすがに美味しい。ちゃんとしてます。軽やかで、食感もいい。
その基本のムラシャンに、レモンの酸味と、スパイスの辛味が加わるのですが、
これが、合ってるんだか合ってないんだか。
この付加した要素は、本当に必要なのか?と、ちょっと考えてしまうんですよね。
あるいは、レモンか、スパイスか、どちらか片方でもよかったのでは?
自分は、なんにもなしの、シンプルなムラングシャンティでじゅうぶんに美味しいんだから、それいいのでは?とちょっと思いました。


次に、ヴェリーヌ行きます!シュプレム。
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おー!横から見ても、桃がいっぱいですねー!
スプーンですくってみます。
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このヴェリーヌは、桃とライチがメインの組み合わせ。
桃は、すごくジューシーで美味しい!
そして、桃とライチの組み合わせなのですが、これはあんまり合ってない気が。
けんかしてる、とまでは言わないのですが、ライチいらなかったかなー・・・
そんな組み合わせに、下のヨーグルト?とラズベリーのソースが加わることで、なんとか一体感をもたせることに成功しています。
夏らしいさっぱりとしたヴェリーヌだと思います。


そして、ブーロブラン。
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このフォルムは、トレカルム独特の形状ですよね。
切ってみます。
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このケーキは、ホワイトチョコ、トンカ豆、パッションフルーツの組み合わせ。
これが、なんというか・・・
それぞれの要素は、ちゃんと美味しい。それは間違いない。
なんだけど、この組み合わせではないほうがよかったかなーーーー・・・という。
トンカ豆は、ビターなチョコにはすごく合うんだけど、ホワイトチョコにはあんまり合わないということがわかったし、パッションとも相性が良くない。
パッションとホワイトチョコも、それほど相性が良くない。
つまり、3つの要素が、それぞれ微妙に相性が良くないんですよねー。
多分どれか一つ要素を抜けば美味しくまとまる気はします。
ないしは、味の強弱をもうちょっとつけるとか。
ケーキとしての完成度は非常に高いので、もうちょっと心を和ませるような美味しさになっていれば、もっと素晴らしかったのではないかなーと思いました。


次に、ラバンド。
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これも断面撮影できてなかった。ごめんなさい。
このケーキは、ラベンダー風味のチーズムースに、中に杏のジュレを組み込んだケーキ。
これは、ちゃんと美味しかった。
というのも、心配されたラベンダーの香りがあまりしなかったので、普通に美味しいアプリコット風味のチーズケーキという趣で。
口の中で咀嚼していると、ふわっと、ラベンダーかな?という香りはあるけど、邪魔をしない程度なので、大丈夫です。美味しいです。


ここからはチョコケーキ。まずはノアール。
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断面。
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このケーキは、普通にフォレノワールですね。
チョコのムース、バニラムース、チェリーの組み合わせ。
チョコはしっかりビターで、チェリーはキルシュ漬けで酸味もアルコールもしっかり。
これはフォレノワール好きの自分としては嬉しい美味しさ。
凝ったことはしてないんだけど、それで問題ないでしょう?という。
あえて言えば、表面のカカオニブはここまで大量にはいらなかったかな。カカオニブって、食感悪いんで、あんまり量多いとちょっと口の中に残る感じが。
でも、美味しいケーキでした。


最後、レガール。
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断面。
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このケーキは、チョコ・コーヒー・オレンジの組み合わせ。
多分前に別の何かのケーキで書いたかと思うんだけど、コーヒーとオレンジはあんまり合わない気がするんですよねー。
その、どちらかというと喧嘩してしまいがちな素材をチョコでなんとかまとめるその豪腕にはすごいなーと思うけど、素材のマリアージュという観点では、マリアージュというより別居中の夫婦?というイメージ。
なんとかかろうじて結婚状態だけど・・みたいな。
このケーキも、素材そのものの美味しさは間違いないんだけど・・・



ということで、トレカルムのケーキ、これまでもちょっとモヤッとしたところがあったのですが、今回はそのモヤモヤがちょっと大きくなってしまった。
自分はシンプルなケーキが好きですが、じゃあ凝ったケーキは嫌いかというと、そんなことはない。
ただ、凝るとか、斬新な組み合わせとか、独創的なケーキを作る場合は、そこに必然性がないと駄目だと思うのです。
必然性、というか、マリアージュですよね。それぞれの素材が、ちゃんと愛し合って、惹かれ合って、そして一体となる、その融合がないと、美味しさは伝わらない。
トレカルムのケーキ、素材自体は、どれもすごく美味しい。仕事もきっちりしてある。そのクオリティの高さは素晴らしいと思うのです。だからこそ、マリアージュの要素の欠けた部分に、残念に思ってしまうのです。
斬新な組み合わせを作る時は、それを食べた時に「斬新だな!」と思わせるのではなく、「この組み合わせ、初めてだけど古典的な組み合わせなの?」と思わせるのが必要なのだと思うのです。
そんな、食べていて頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになるケーキではなく、知らず知らずのうちに斬新さや凝った構成を素直に楽しめる、そういったケーキを待ち望んでいます。
絶対できると思うので、期待大です!