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JBはどこが偉大だったのか自分なりに考えてみる


昨日は早々にふて寝したのですが、一般紙にも記事が出てしまいましたね。

ブラックミュージック界の第一人者として知られ、60年代以降、ソウルだけでなく、ロックやジャズ、ヒップホップに至る米国ポピュラー音楽に影響を与えた。


いや〜〜〜・・。
個人的にはまだ信じられませんが。


だって自分の今まで聴いてきた音楽は、YMOかJBのどちらか、あるいは両方の影響を必ず受けていた。例外なく・・と断言できますから。


では、JBの偉大さはどこにあったのか、自分なりに考えてみます。
とても難しいんですけど・・・こういうのはどうでしょう。
黒人音楽とはどういうものかを最もわかりやすい形で人々に示したという。


それまでの黒人音楽は、ブルースにしろゴスペルにしろ、一種の民俗音楽でありポップスとは無縁の場所にいた、そうです(Race Musicと呼ばれてた)。
そうした黒人音楽の形式を融合・抽出してリズム・アンド・ブルースという新しいスタイルをつくり、黒人だけでなく白人にもアピールしたのがジェームス・ブラウンの"Please, Please, Please"であり、レイ・チャールズの"What'd I Say"だったのでした。
このリズム・アンド・ブルース(R&B)が、白人の間に伝わってロカビリーやロックンロールが生まれるわけです。ビートルズもエルヴィスもストーンズも、みんな根っこはR&Bだし、特に初期の彼らはR&Bのカバーを何曲も録音しています。
その後ロックは多様化していきますが、ルーツをたどればJBをはじめとした黒人音楽にたどり着くのです。


ここまででも既に十分偉大なのですが、JBのすごいところは、そこから自分の音楽を更に進化・深化させていくのです。
その結果彼は「ファンク」という、新しい音楽ジャンルを生み出します。
「ファンク」もその後多様化していくので定義づけが難しいのですが、強引に言い切ってしまうと
「黒人音楽の持つ官能性だけで楽曲が成立している」
というのはちょっと抽象的過ぎますか?


まず彼は、ベースとなるR&Bから、メロディーを取り去ってしまいました。
そのかわりにリズムに乗ったチャント(言葉)とシャウトをメロディーと置き換えたのです。それはゴスペルの宣教師の説教のように、聴く者を興奮させます。
そして、和声(コード)。これはブルースやジャズをベースにしつつも、それをどんどん抽象化して、最終的にはたった1つか2つのコードだけで曲を構成していきました。これも聴く人にトランス効果を与えます。
最後にリズム。ファンクのリズムは拍子の表と裏がめまぐるしく変わるポリリズムです。アフリカの民俗音楽にはこうしたポリリズムが普通に出てきますが、彼はそれを若干単純化してポピュラー音楽の16ビートの枠内に収めました。
そうして、通常の楽曲の「メロディー+ハーモニー+リズム」を、「シャウト+短いリフ+ポリリズム」で構成された、それまでなかった新しい音楽形式を作り出しました。それが「ファンク」です。
この新しい音楽形式は、それまでのポピュラー音楽の概念を根本的に変えました。そしてそれ以降の全ての黒人音楽と、黒人音楽に根ざした音楽のすべてに影響を与えたのです。


「ファンク」自体はその後、より単純化された「ディスコ」の影響で一時勢力を弱めるのですが、1980年代以降、ファンクが蒔いた種からヒップホップやテクノ、ハウスミュージックといった「クラブミュージック」が芽を出してきます。ヒップホップはJBの曲のドラムブレイクに乗せて「メロディーのない」ラップをくりだし、ハウスはJBの曲の1フレーズを抜き出して、それだけで新しい曲を作り出しました。こうした現在のテクノロジーによって蘇った「レプリカントJB」は次第にポピュラー音楽の中心にまで浸透していきます。それと共にJBの名もゴッドファーザーとして刻まれることになったわけです。


・・・と長々と書いてしまいましたが、結論を言うと、ちょっと尾籠なのですが


ジェームス・ブラウンは今日に至るほとんど全てのポピュラー音楽に「R&B〜ファンク」という特濃の精液をぶっかけた男で、だからどの曲を調べてみても彼の遺伝子を見つけることができるのです。
そのぐらい偉大な人物でした、彼は。