Nyao's Funtime!!

nyao(♂)の不可逆な日々を、チェスの騎士のように不規則にたどたどしく綴っていこうと思っています。

拙著「ケーキツアー入門」好評発売中!

ケーキツアー入門: おいしいケーキ食べ歩きのススメ

Kindle版
¥1,728から
(2018/4/27 00:00時点)


おしごと依頼等はnyaofunhouse★gmail.com(★→@)まで


アマイタマシイKindle

甘魂者の聖典!「アマイタマシイ」Kindle版好評発売中!!詳細は画像をクリック!
紙媒体でも復刊ドットコムから発売決定!
→復刊ドットコムのページ

長見良の魔法世界

Nyao's Funtime!!は漫画「ファンタジウム」と
長見良の魔法世界を応援します!
「ファンタジウム・パーフェクトエディション」電子書籍で配信開始!

ファンタジウム(1)【Kindle版】

おこもり中でも美味しいケーキ食べたい人は・・紹介記事書きました。


 Brian Wilson "SMiLE"


スマイル
昨日買って来てから通しで3回聴きました。1回目はPCのスピーカーで、
2回目はヘッドフォンで、3回目はステレオコンポで。
なんでわざわざ再生環境をいちいち変えたかというと、これはとても重要な
情報だと思うのでこれから聴く人や、買ったけどあまりピンと来なかった人は
是非気をつけていただきたいのですが、このCDは
絶対にPCのスピーカーで聞かないでください!
iTunesなどもってのほか!
自分も最初iTunesで取り込んで聴いたときは「???」だったのですが、
ヘッドフォンで聴きなおして愕然。音量うんぬんでなく、PCのスピーカーでは
このCDが伝えたい重要な情報がほとんど欠落してしまいます。さらにiTunesは
曲間に無音ができるので全体の緻密な構成がぶちこわし。
最低限CDラジカセで聴いてほしいです。そうやって対峙するに値するCDです。



ポピュラー・ミュージック史上*1最大の欠落「スマイル」はその後も亡霊のように
音楽界に君臨していたわけで、どんなに優れたレコードが発表されても
「スマイル」に勝つことはできなかった・・・。そりゃそうですよ。
「不在のチャンピオン」は倒しようがないもの。
自分のようなヘタレ音楽好きですら、その伝説(神話、ですね)は常に頭に
ありました。
その伝説のチャンピオンがついに姿をあらわす。最初ライブで全曲演奏する、と
聞いたときには「まさか!」と思いました。そしてスタジオ録音盤正式リリース・・・。
昨日CDを手に取った瞬間は思いがけず夢が叶ってしまったときに感じる、びっくりと
嬉しさと、少しの寂しさがよぎりました。
あのちょっと寂しい感じってなんなんでしょうね。


それで昨日から今日まで聴いたのですが。
自分の現時点の結論はこうです。

  • 「もしこのアルバムが1966年に出ていたら・・」という想いを止めるのは不可能だけれど、それはあまり意味がない。この作品は「2004年に発売された、時代など関係ないマスターピース」、それでいいじゃない。
  • それではこの作品が仮に1966年に発売されていたとしたら(もちろん構成・音像等かなり違ったものだろうけれど)。自分はそれでもその「存在しなかった1966年のスマイル」は"Pet Sounds"を凌駕することはなかっただろう、と思います。どちらもまごうかたなき傑作(になった)でしょうが、2つの作品は向いているベクトルがあまりにも違いすぎる。

「スマイル」の亡霊はその後のビーチ・ボーイズの作品だけでなく、前作
「ペット・サウンズ」にも及んでいて、あれだけの名盤が常に「(暫定)最高傑作」の
立場を余儀なくされていたわけですが、これでようやく「ペット・サウンズ」を
正しい場所に位置づけることができましたね。
「ペット・サウンズ」はポピュラー・ミュージックとしてのビーチ・ボーイズの最高傑作。
「スマイル」はポピュラー・ミュージックの要素は濃厚なものの、もっと広い意味での「音楽」としての名作。
発売元が元々クラシックの現代音楽を得意としていた「ノンサッチ」レーベルなのも*2
なにかの符合のように思います。


ともあれ、37年間音楽界に居座った亡霊を追い払ったブライアン・ウィルソンの
勇気には感動、というかびっくりしました。普通あそこまで歳をとって
キャリアも重ねてたらなかなか出来ないですよ。

*1:この場合の「ポピュラー・ミュージック」はロック・ジャズも含む大衆音楽全般を指します

*2:自分の中では「ノンサッチ」といえばS.ライヒやP.グラスなどのミニマル・ミュージックをまず思いうかべます。