ラジカルTVの凄さについては何度か書いたのですが。
あれなんですかね、「ラジカルTV」を自明のものとして書いても駄目なんですかね。キーワード化もされていないみたいだし。
2人とももう大御所だもんな・・・。
えー、「ラジカルTV」というのは、1956年生まれの原田大三郎さんと1960年生まれの
庄野晴彦さんが1985年に結成したユニットで、CGやビジュアル・エフェクツを多用した
斬新な映像表現で当時のポップ・カルチャーに殴りこみをかけた、いわば日本における
VJの始祖とも言えるアーチストでした。
その頃は原始的なコンピュータとほぼアナログな映像加工装置くらいしかなく、
作り上げられた映像も今から見るとチープこのうえないのですが、その8ビット感覚が
けっこう気持ちいいのです。
彼らが注目されるきっかけは1985年の筑波万博でのイベント"TV WAR"でした。
筑波万博のシンボルでもあったソニーの巨大テレビ「ジャンボトロン」。
1985年9月15日の夜、幅48メートル、高さ42メートルという当時世界最大のモニターを
使用した前代未聞のパフォーマンスが行われるとのことで、雨の中「ジャンボトロン」の
前には多くの観客が集まって開始を待っていました。
"TV WAR"
コンセプト:浅田彰、音楽:坂本龍一、ビジュアル:ラジカルTV
やがて会場にサイレンの音が鳴り響いたかと思うと、弔いの鐘の音のような曲と共に
ジャンボトロンにはきのこ雲と爆風で吹き飛ばされる家屋の映像がゆっくりと
映し出されます。
そして突然、爆発の映像が痙攣したかのように何度も何度も繰り返され・・・。
改めてすごいのは、音楽とのシンクロ具合。教授の手によるインダストリアルなビートにあわせて
戦争の実映像がカットアップされるさまは「ラジカル」のユニット名にふさわしい。
湾岸戦争(1991年)のときに「TVゲームのような」と評されたけれど、それより6年も前に
彼らは戦争のリアリティを完膚なきまでに剥奪してしまっていたわけで、これはまあ
多分に浅田彰のコンセプトによる部分も大きいだろうけど、それを具現化できたのは
やはりラジカルTVの力なわけで。
"TV WAR"は全体が6つのパートに分かれていて、彼らの代名詞ともなったGIジョーも大活躍します。
LIVE(YouTube)
彼らのこと知らない人がこの映像見たらどのように感じるのだろうか・・・。
以下のサイトを参考にしました。
TV_WAR_ LD
http://www1.sphere.ne.jp/skmt/sakamoto/tvwar/tvwar.html
あと、書き添えておくとこの"TV WAR"、教授の音楽がまた素晴らしい。
ストイックで先進的で。エンディングの"EX-JAZZ"は本当に名曲です。